2011年08月18日
小さな恋のメロディー

恋多き女、キリンさん。
というのは嘘で、単に気が多かっただけなんですが。
今日は小学校の思い出をひとつ。
低学年の頃の同級生といえば、
乱暴でウソツキで意地悪なジュンくんとか、
これまた乱暴で成績の悪いソガメくんとか、
やっぱり乱暴でお調子者のミッくんとか、
とりあえず「乱暴」とは切り離せない
野蛮な男子ばかりでありました。
一人、何故か女子にモテモテの
コヤナギくんがいたけど、
こいつは成績もよく顏もいいのだが、
いかんせん泣き虫なのでタイプではなかった。
その中で、なんとなく気になっていたのが、
ヒロシくんなのでした。
ヒロシくんは、
大人しいのだけど運動は出来るし、
活発な男子のグループにいるけど乱暴ではなく、
家は大きな新しい二階建てで、暖炉があるというウワサ。
難を言えば舌がまわらず、
「たんぽぽ」と言えなくて
「たんぽこ」と言っていたくらいでしたね。
それも二年生になったら克服し、
無理やり「たんぽこ」を言わせて喜んでいた女子を
がっかりさせたのですが。
二年生の二学期に、
ヒロシくんと私で学級委員をすることになりました。
チャンス!!!!!!!!
と思うほどまだ成熟してはいなかったけど、
なんとなく仲良くなれるかも、
という期待にドキドキ。
ドキドキ、ドキドキ、
してるうちに、二学期は終ってしまったのでしたが。
二学期の終業式の日の夕方、
私は小学校の校庭に遊びにいきました。
近いので、しょっちゅう行ってたんですけどね。
砂場で一人、砂の山を作っていると、
後に人の気配が・・・・。
だれ?と思って振り向くと、
そこにはヒロシくんが、
私に背を向けるようにして、
やはり砂の山を作っているではありませんか!!!
キャー!!!!ヒロシくんだよ!!!!
チャーーーーンス!!!!!
とは、やはり思わなかったけど、
胸はドキドキ高鳴ります。
なにか声をかけようかなあ。
何て言えばいいのかなあ。
でも、いやがられるかも。
向こうから何か言ってくれないかなあ。
頭の中は爆発しそうに色んなこと考えていても、
言葉にはならなくて、
ただ黙々と砂の山を高く積むばかり。
何度も手でたたき、
砂の山が固くなり過ぎたころ、
おひさまも山に沈んであたりは暗くなってきました。
それでもまだ、
二人は動きもせずに山をペタペタとたたくばかりです。
とうとう、
ヒロシくんが立ち上がり、
向こうをむいたまま、
「学級委員も終わったのう。」
と、ぽつりと言いました。
「うん。」
それだけ言うのが精一杯で、
そのあと二人は顏を合わせもせず、
そのまま真っ直ぐ歩いて家に帰ったのでありました。
たったそれだけの、短いやりとりでしたが、
いま思い出しても心が少し温かくなるのです。
まだ木造だった校舎、
砂場とぶらんこと国旗掲揚代、
低い山並みに沈んだ夕日、
それぞれが、
くっきり、はっきり、頭に浮かぶのでした。