2021年09月13日
月夜のバイオリン
もう20年以上(30年以上?)はむかしのことです
まだ小さかった息子の手を引いて、スーパーから帰りを急いでいたときでした。
すでに日は暮れて、綺麗な月が見えました。
あらお月様、と思ったとき、バイオリンの音が聞こえてきたのです。
曲名はわからないけど聞き覚えはあったので、
有名な協奏曲に違いありません。
「どこ?」
ちょうどそこは、広い駐車場。
その頃の駐車場は舗装もいいかげんで、みすぼらしい小さな掘立小屋がついており、
そこで管理人さんが車の出し入れをチェックしておられました。
バイオリンは、まさにその小屋から聞こえてくるのです。
よく見ると、中で大学生くらいの若い男の子が目を閉じてバイオリンを弾いていました。
バイトかな。
技術的にはわからないけれど、美しい音色。
小さな息子も聞きほれているようで、足を進めません。
ちょっと疲れた母と子は、
しばしの夢の中にいたようです。
広く寒々とした駐車場のみすぼらしい小屋の中で、
そこだけ輝いていたように思えます。
宮沢賢治の童話の中みたい。
いや~、いいモノ見たというか、いいモノ聞いたわ~。
未だに忘れられないほど感動しました。
音楽ってほんとにいいものですね。
Posted by キリンさん at 12:28│Comments(0)
│王様の耳はロバの耳