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Posted by みやchan運営事務局 at

2011年08月17日

地下室




高校一年生のとき、
友達がある短編の話をしてくれました。

作者も題も、細かいところも忘れましたが、
地下室の話だということは覚えています。

ある二人の男が賭けをしました。

一人は地下室の中に入り、
もう一人は外から鍵をかけるのです。

何時間だったか、何日だったか忘れましたが、
一定の間、地下室の男が外へ出られなければ、
その男の負け。

まんまと外へ出ることができたら、
勝ちという設定です。

たしか大金が賭けられていたように記憶します。

鍵を持っている男は、
ドアの外で見張っています。

中の男が何をしているかはわかりません。

最初のうちは、
中の男は色々と話しかけてきました。

出してくれたら秘密を教えるとか、
美しい妹がいるから結婚させてやるとか。

外の男はそんな言葉には騙されるもんか、
と、絶対に鍵を開けようとはしません。

そして刻々と時は過ぎて、
約束の時間に近付いてきました。

すると、中の男の様子がヘンなのです。

しきりに苦しい苦しいと訴えます。

空気が薄くなってきたと言うのです。

次第に声は緊迫し、
苦しくて息が出来ない、このままでは死んでしまう、
と、真に迫った声になってきました。

中からドアを必死でたたく音に合わせて、
自分が悪かった、賭けは自分の負けでいいから開けてくれ、
そう叫ぶのです。

外の男は、きっと嘘に違いないと思うのですが、
あまりの切羽詰った声に、
もしかしたら・・・と不安になってきました。

開けてくれ!!開けてくれ!!!
死んでしまう!!!!

そう叫んでいた声が、だんだん小さくなり、
ドアを叩く音も消え、
中からは何の物音もしなくなりました。

おい、大丈夫か?
と声をかけても返事はありません。

時計を見ると、約束の時間にはまだ間があります。

もしも本当に空気がなくなったとしたら、
早く病院に連れて行かなければ死んでしまうかもしれない。

だったら一刻も早くここを開けなければ。

しかし、これが嘘だったら賭けに負けてしまう。
大金を失うことになるのだ。

だけど、これで死んでしまったら、
自分は人殺しになるのか?金だって入らない。

外の男は迷います。

この話は、鍵を手に握り締めるところで終わってしまい、
男が開けたか開けなかったのか、
中の男は嘘をついていたのかいなかったのか、
それは謎なのでした。

友達は私に、

「アンタじゃったらどうする?開ける?開けん?」
と問いかけました。

私の答えですか?それは

「そんな賭けするかい。」  

Posted by キリンさん at 15:20Comments(7)王様の耳はロバの耳