2010年10月14日
私を見つけて

「ぼくをさがしに」
という絵本がありますが、今回は関係ありません。
みなさんは、
缶蹴りという遊びをしたことありますか?
今は小学校に空き缶がころがってるなんて
あり得ないと思うのだけれど、
昔は豊富にありましたね。
給食室のウラのゴミ捨て場に行けば、
何個でも使い放題。
遊び方はいたって簡単。
誰かが缶を蹴っ飛ばし、
オニがそれを拾って所定の位置に戻すまでに、
みんな一斉に隠れるのです。
オニは隠れたみんなを探し、
見つけたら
「〇〇ちゃん、見っけ~~~!!!!」
と言って缶を踏む。
見つけられて缶を踏まれたら、アウト。
オニはそうやって隠れた人をどんどん見つけていくのだけど、
うっかり缶から遠く離れたりしてる間に、
隠れていた誰かが缶を蹴飛ばせば、
アウトになっていた全員はまた生き返り、
ゲームは振り出しに戻りオニはがっかり。
大好きなゲームの一つでありました。
ある日のこと、
みんなで缶蹴りをしていました。
小ズルイ私はめったにオニになったことがなく、
その時もオニを免れ、
体育館のウラに隠れました。
そこは意外と穴場でして、
隠れたのは私一人。
窓越しにオニのいる校庭の様子も窺えて、
とっても素敵なポジションなのでした。
どんどんみんなが見つかって行くのを、
優越感一杯に眺める私。
でも、なんだか、次第に、
様子がヘン・・・・・。
よく見ると、
私を除く全員がそこにいる。
そのゲームが終わるには、
私が缶を蹴って振り出しに戻すか、
オニが私を見つけてくれるか、
二つに一つしかありません。
でも、
オニは缶のそばに張り付いているし、
私がのこのこ出ていったら、その場で終り。
こ、困った・・・・・・。
自分で出て行くのはマヌケだと思ったので、
なんとか私を見つけてくれないだろうかと、
色々アピールを始めました。
髪が長くて三つ編みにしていた私は、
それを持って壁の先に出して振ってみました。
反応なし。
石を投げてみました。
反応なし。
カベを叩いてみました。
反応なし。
窓を叩いて音を出してみました。
反応なし。
そのうちに、
みんな何か別の遊びを始めているみたい。
鬼ごっこか???
私はここよーーーーーーーー!!!!!
叫びたい気持ちを抑えて、
じっとしていました。
そのうちに
新しい遊びが興に乗ってきたらしく、
笑い声や歓声があがります。
みんな私のこと忘れちゃったの?????
もう辛抱タマラン!!!!!
のこのこ出て行った私を見て、
みんな大笑い。
「やっと出てきた。」
「さっきから見えちょったよ。」
「けっこうシブトカッタね。」
・・・・・からかわれたわけです。
でもね、
とても恥ずかしかったけど、
私が忘れられてたわけではなかったと思うと、
泣きそうな気分は晴れて、嬉しくなりました。
今にして思うと
怒るところなのかなあ。
からかわれて喜ぶってないよね。
でも、本当に嬉しかったのです。
見捨てられたんじゃなかったと思って。
隠れていた時の心細さ。
それがいつまでも忘れられないのは、
やはり人間は一人では生きていけないってことかもしれません。
人間はいつも
自分を見つけてほしい、
そう願っている生き物なのでしょうね。
さて、もうお昼になりました。
午後も元気だしていきましょうかね。