2009年09月14日
インフルエンザと漢方薬

昨日は福岡で、漢方薬の勉強会でした。
加味逍遙散(かみしょうようさん)という婦人薬と
衆方規矩(しゅうほうきく)という、古典の話。
それはさておき、インフルエンザの話も出ました。
「麻黄湯(まおうとう)」って、聞いたことありますか?
どうやら最近、インフルエンザに効くと宣伝されているとか。
でも、本格的な漢方専門薬局で、
「麻黄湯」を使うことはほとんどありません。
インフルエンザに効かないというのではなく、
とても効果的な側面もあるのですが、
飲むタイミングが非常に難しいからです。
体力のある健康な大人で
発熱がひどいのに布団を何枚かぶってもガタガタふるえ、
汗は全く出てなくて、
身体が激しく痛むとき、
それが麻黄湯のタイミングです。
『中医処方解説』という本の中にも
「適切に使用すれば顕著な効果がある。(通常2~3剤で)」
としながらも、
「適応を誤ると、発汗過多によるさまざまな弊害が生じ、
甚だしければ悪化をまねくので注意が必要である。
一般的な感冒などで軽々しく使うべきではない。」
と、注意をうながしており、使用上の注意としても、
「老人・子ども・虚弱者には用いてはならない」
「化膿性の疾患には禁忌」
とされています。
もしタイミング良く飲むことが出来ても、
汗が出始めたらもう飲んではダメで、他の処方に変えなければならず、
まだ残ってるし・・・なんて飲んでると、激しい動悸がしたり、
体力をひどく消耗して予後が悪くなり回復が遅れます。
では、インフルエンザに漢方薬はダメなのか?
そんなことはありません。
昨日の先生からは、
予防として飲む漢方薬の組み合わせや、
治療に使うものを教えていただきました。
森道伯という有名な漢方家は、
大正時代にインフルエンザが大流行したときには
「胃腸型」
「肺炎型」
「脳炎型」
の三つのタイプに分けて漢方薬をバンバン処方し
(貧困層には無料で施したらしい)
多くの人を助けたと言われています。
(なんでそんな話を誰も知らないのか?よくわかりませんが、
この人が無免許だったからではないでようか。
ブラックジャックみたいに。
漢方の世界では超有名な人で、弟子に有名な医師も大勢いたんだけど。)
それらをふまえた上で、
もしも高熱が出て、ガタガタふるえるようなことがあれば、
病院に行くことを私は勧めます。
それがインフルエンザがどうかという診断は、
病院にしか出来ないからです。
学校に行ってたり、お勤めしてたり、社会に参加してる以上、
きちんと診断してもらうことで、迷惑を避けなければなりません。
ただ、ちょっと鼻が出たとか、熱っぽいとか、
軽いうちに行くのは賛成できません。
重症の人の迷惑になるし、自分も重症のウイルスに感染するかもしれないので。
何度も言いますが、
どんな症状が出たらどうするか、
よく考えておくことが大切だと思います。
それには正しい知識を探して
自分自身で判断することです。
病院にもかかって漢方薬も飲む。
それも当然、大アリだと考えています。
今日は真面目なキリンさんなので、オチはありません。
では、今週も元気出して参ろうではありませぬか!!
(真面目になると、時代劇風な口調になるクセが・・)