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Posted by みやchan運営事務局 at

2009年11月13日

思い出すということ



「思い出すという行為は、創造する行為に似ている」

思い出すときと、創造するときの、脳の働きが似ていると、学者さんが言ってました。
だから時おり思いでを語るのは、脳の活性化につながるそうですよ。

さて、今日は一つの苦い思い出をご紹介しましょう。

まだ宮崎に帰ってきて日も浅く、
薬屋さんといっても、やっと留守番が出来るレベルだった頃のこと。

ご近所に、40歳くらいの独身の男の人が住んでいました。
かっこいいけど、やさぐれた、人生に疲れた風な人。

その人がよく薬を買いに来ていたのですが、
気付いてみると、
下剤と正露丸を交互に買っていくのです。
それも、とても早いサイクルで。

恐る恐る「大丈夫ですか?」と聞いたけど、
ジロッと睨むばかりで返答はなし。
それでも
「あの、下痢と便秘が続くようなら、一度病院に行ってみては?」
と言ってみると
「余計な世話だ。自分のことは自分が一番わかっとる。」
なんて、けんもほろろ。

怖かったので、しばらくは黙っていたのですが、
目に見えて、痩せてやつれ方が激しくなってくるので、
「やっぱり病院に一度は行ってみたら・・・」

「薬屋は薬だけ売っとけ!!」

言い返せない自分が情けなかった。

それからしばらくして、またその人がやって来ました。

「病院に行った。」
と言うのです。驚いていると、
「大腸癌の末期だから、すぐ入院と言われた。」

返す言葉がなくて黙っている私に、
その人は一言、

「もっと早く、言ってくれたら良かったのに。」
と捨て台詞を残して去って行ったのです。

ショックでした。苦いどころではない、辛い思いでした。

そしてその人は、2~3ヶ月後には亡くなったのです。

なんでそんなこと、わざわざ言いに来たんだろう。
なんで恨むような言葉を・・・。

ところが何年もたったある時、友達にその話をしたのです。
古い恨み言っていうか、愚痴みたいなカンジで。

そしたら友達は、
「いや、それは恨み言を言いに来たんじゃないと思う。」
と言うのです。

「ホントはアンタに会いに来たんじゃないの?
 忠告を聞かなくて悪かった、もっと早く聞けば良かったって。
 素直に言えない人だったんだよ、きっと。
 じゃなかったら、今から入院する時に、わざわざ来ないって。」

えっ、そうなの????

そうかもしれない。そうでないかもしれない。
本人は亡くなってますから、確かめようもありません。

でも、友達にそう言われて心がぐんと軽くなったのは確かです。

人間の心は、言葉通りであったり裏腹であったり、
とても難しい。
言ってる本人にさえ、真意がわかってないことだってあります。

そういう不完全な存在が、愛しくもあるのですが。

さて、写真の書は沙夜さんの作品。今、展示会の最中です。
今日ななんとか行けるかも。

そして明日とあさっては、東京出張です。
日曜は勉強会と会議ですが、
土曜日は大学時代の同級生達と、横浜中華街に行く予定。

ミニ同窓会です。思い出話に花が咲くことでしょう。

それでは皆さま、良い週末を~~。  

Posted by キリンさん at 11:13Comments(21)王様の耳はロバの耳