2010年11月10日
私は卑怯者

今はどうなのか、知りませんが、
私が子供の頃に一番忌み嫌われた呼び名は
「卑怯者」でした。
バカ、カバ、デベソ、
そんな言葉は我慢もし、反論もするけれど、
「ひきょう!!」
と言われると、最低最悪の人間という烙印を押されたと同じなのでした。
さて、
今日の絵ですが、
これは私が小学校3年生の時に見た夢であります。
いつも遊ぶ仲間達は私を放ったらかして海に遊びに行ったので
(あくまでも夢の中の話)
一人でつまらなくブラブラしていると、
いきなり白装束のモノが現れたのです。
一目で私には、
「人喰い鬼だ!!」
とわかりました。
なんでわかったのかって?
そりゃあ私の夢なんだから、私が鬼だと思ったら鬼なんだよ。
逃げても逃げても追いかけてくるのですが、
何故か最初は楽しかった。
かくれんぼと鬼ごっこを足したような、
そんな遊び感覚で、
塀の陰、ヤブの中、私はひたすら逃げ回り、
鬼はニヤニヤしながら追いかけてくるのです。
でも、ついについに、川の横でつかまってしまいました。
そうなると話は違います。
間近に見た鬼の口は、真っ赤に避けて、鋭い牙が見えました。
「く、喰われる!!!!!!!」
突然の恐怖におののいた私は、
思わずこんな言葉を口走っていました。
「海の方が、子供がいっぱいおるよ!!」
鬼の動きが止まりました。
「ウチはチビじゃけど、大きい子ばっかりよ!!」
(要するに、そっちの方が食べでがあると言っている)
鬼は少し考えたふうでしたが、
私を放して海の方へと走り去って行ったのです。
助かった~~という安堵感よりも、
思いもかけない自分の卑怯ぶりにショックをうけ、
そこで目が覚めました。
がーん、がーん、がーん、と音が聞こえそうなほど、
自分はなんて卑怯なんだろうという後ろめたさが頭を打ちます。
どうせ夢なら、喰われてもよかったのに。
それからしばらくは、
遊び仲間に必要以上に親切にして怪しまれ、
「どしたん?」
と何度も聞かれましたが、
たとえ夢でも許してもらえないだろうとふんでいたので
絶対に口を割ることはありませんでした。
あれから何十年もたっているのに、
鬼の姿も、石の橋を渡って走り去る後姿も、
鮮明に思い出すことが出来るのです。
ショックが強かったんですね。
それほど「卑怯」というのは
忌むべき行為でありました。
今はどうなのかな。
世の中を見ていると、
私と同年代の人でも、
そういう感覚を失ってる人が多いように見えたりします。
卑怯者の私が言うべきことでもないけど、
なんだか残念。
さて、今日は延ばしに延ばしていた仕事が片付きそうです。
頑張ろうっと。