2011年04月14日
Y子の恋

今日の主人公は、
幼稚園から高校まで一緒だったY子さんです。
この記事を書くにあたって、
本人には何の承諾も得ておりません。
それは私達が花の中学三年生だった頃、
時はバレンタインデー前日のことです。
Y子とチーと私は、
スーパーのチョコレート売り場におりました。
「チョコをあげようか、やめようか、どうしよう・・。」
専ら悩んでいるのはY子さん。
チーと私は特別に目標となる人もいなかったので、
ただのお付き合い。
(実は私は気が多かったので、好きな人が大勢いすぎた)
私達の時代には
今のような義理チョコなどはなく、
あげるとしたらガチ本命。
本気の告白に他ならないのでした。
Y子さんの恋の相手は
学級委員のビー。(あ~あ、言っちゃったよ)
ビーは頭がよくバスケット部で(当時バスケ部はポイント高かった)
背が高く、おしゃれでスマートでした。
すっきりした顔立ちで、前歯がデカくてビーバーみたい。(だからビー)
Y子さんが悩んでいた理由はこうです。
実はビーには好きな女の子がおり、
告白しても玉砕しかない。
ビーと私達のグループは仲がよかったので、
余計なことして気まずくなりたくない。
考えた末にY子は言いました。
「やっぱりあげる。
最後に私の気持ち、伝えたいんよ。」
実はビーは地元の公立高校には行かず、
広島の進学男子校に行くことが決まっていたのです。
「でも、名前はなしにするわ。
私からじゃと思うたら困らせることになるけん。
迷惑はかけとうないんよ。」
うう、いじらしいぜ、Y子。
そして翌朝、私達は早めに学校に行き、
ビーの机の中にチョコをそっと忍ばせたのでした。
しばらくすると他の生徒も姿を見せ始め、
ビーもやって来ました。
「あれっ?」
ビーの小さな声にY子はドキドキ。
関係ない私とチーもドキドキしながら
なんとも言えない達成感につつまれておりました。
やった!やったのね!!
誰かわかってもらえなくても、
アナタを好きな女の子がいたこと、
忘れないでね~~~。
そして放課後のことでした。
ビーが私達に話しかけてきたのですが、
「これ。」
という手にはY子のチョコが・・・!!!!!!!??????
「な、な、な、なに?」
と挙動不審ぎみに訊ねる私達。
バレたのか!!!?????
ビーの話はこうでした。
ビーのグループの男子は、
実は今でいうジャニーズのような、
花男のような、
モテモテグループだったのです。
「今年のバレンタインはみんなで話し合うて、
誰からもチョコを受け取らんことに決めたんじゃ。
じゃけん、みんな返したんよ。」
意味はよくワカランのですが、
男の子も純な時代ですから、
好きでもない相手からへらへらとチョコをもらうことを
潔しとしなかったらしいのです。
「で、そ、そ、そのチョコは??」
「これ、誰からかわからんけん返しようがないんじゃ。
じゃけん、お前らにやる。」
はあ~~~~~?????
「まあそう言わんと、一個ぐらい食べたら?」
「いや、けじめじゃけん。」
そしてビーは冗談めかしてこう言いました。
「お前らとの、友情の証よ。」
・・・・友情の証・・・・。
そして私達はY子の買ったそのチョコを、
3人で分け合って仲良く食べたのでありました。
みんな不器用で幼くて一生懸命だった頃の
懐かしい青春の一ページのお話です。
というわけで、
Y子さん、
ネタに使わせて頂きました。
私のこと嫌いにならないでね~。(今さらか)