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Posted by みやchan運営事務局 at

2011年04月11日

ぼくの好きな先生 3




中学校3年生の、英語の先生です。
背が高く、馬みたいな風貌で、
なんと申しますか、マイペースな方でございました。

朝礼のとき、
校長先生のお話の真っ最中でした。

校門の方から
ババババババババ・・・と、スクーターの音が。

「ヨシイ先生じゃ・・・・」
と、誰ともなくつぶやきます。

ヨシイ先生はスクーターに乗ったまま、
悪びれることもなく
背筋を真っ直ぐに立てて校庭を走り、
全校生徒の目の前で校長の背後にまわって
ババババババとエンジン音をたてながら
駐車場へと入って行くのでした。

ヨシイ先生は、
私が所属するソフトボール部の顧問でもありましたが、
運動はあまり得意ではなく、
野球の類も詳しくなさそうなカンジ。

その証拠に、
試合のときに出すサインがあります。

ベンチからバッターに指示を出すサインのことですよ。

ヨシイ先生のサインは、
とてもシンプル。

バントの時は、
自分のズボンのベルトをこすります。
昔はベルトを「バンド」って言ってたからね。

盗塁の時は指を指します・・・。

とてもわかりやすいのですが、
きっと敵にもわかりやすかったと思います。
(サインの意味なし)

ヨシイ先生は、
授業のときに必ず小テストを行いました。
みんなにテストをさせておいて、
自分は教室を出ていきます。

用務員室に行って、
用務員のおじさんと将棋を指すためです。

テストが終わったころに
のっそりと帰って来るのですが、
時にはいつになっても帰って来ないことがありました。

しかたないので
学級委員の
ビーとキミちゃんが迎えに行くのですが、
迎えにいっても先生は来ないこともあります。

ビーが言います。
「もうちょっとで詰むけん、待っちょけと。」

あまりのことに、
さすがの生徒もこれじゃイカンじゃろうと話し合ったことがありました。

「抗議の意味で、テストを全員が白紙で出そうか。」
と、ビーが言いました。

そうしようそうしようと、意見はまとまり、
次のテストは白紙にしようや、誓い合う3年7組。

そして次のテストの日、
小心者の私の胸はドキドキ。

ええんじゃろうか、こんなことして。
でも、みんなで白紙提出って、ドラマみたいでかっこええかも。
そんな興奮も。

そして私はテストを白紙で出したのでした。

授業が終わったとき、
私はビーに
「白紙で出したよ!!!」
と興奮気味に告げたのですが、

「バカか、おまえ。」

・・・・・・な、な、なに~~~~!!!!??????

他のクラスメートに聞いても
「出さんよ~~~~。白紙でなんか。」

そんな~~~~~~~。
結局、私だけでしたね、白紙で出したの。

テストが返されたとき、
どれほどドキドキしたことか。

おこられるのか?あとで来いとか言われるかも・・・。

ついに順番が来て名前が呼ばれ、
心臓バクバクさせながら、
教壇へ近付く私。

「はい。」

あれ?それだけ?????
いともアッサリ答案を返してくれた先生は、
何事もなかったかのように、授業を開始されたのでありました。

ちゃんと零点と書いてあったけどね。
叱られることは、ありませんでした。

ヨシイ先生と最後に会ったのは卒業式です。

式が終わって教室に入り、
余韻を引きずっている私達。

「これでお別れじゃね。」
と誰ともなく言い出し、泣き出す女子。
男子もさすがにしんみり。

その時でした、
廊下を一人、元気よく両腕をグルグルと廻しながら
「ほっほっほーー!!」
と奇声を上げながら歩く人影が。

「ヨシイ先生じゃ・・・。」

最後までマイペースな先生でしたね。
でも、私はこの先生が大好きでありました。

今ごろどうしているかしら。  

Posted by キリンさん at 11:40Comments(7)王様の耳はロバの耳