2013年05月24日
火を貸して下さい

高校を卒業した私は、
一年間を京都の予備校で過ごしました。
その予備校に入ったばかりの頃、
一番びっくりしたのが、
ほとんどが男子で、
しかもそのほとんどがタバコを吸っていたことです。
先月まではきっとみんな
タバコなど吸ってなかったはずなのに。
いや、吸ってはならなかったはずなのに。
いやいや、予備校でだって、未成年だから吸っていいわけないんです。
なのに校則がないって、こういうことなのかと。
きっとみんな憧れていたのね、タバコに。
大人のドラマなんかでよく見たのだけど、
「火を貸してくれないか。」
「ああ。」
なんて言いながら、
トレンチコートの襟を立てた大人の男たちが煙草を吸う光景は、
いかにも大人の雰囲気を醸し出す、カッコイイものでした。
この「火を貸す」とは、
ライターを貸すわけではなくって、
火がついた煙草に、火のついてない煙草をくっつけて、
もらい火をすることを言います。
ただ煙草同士をくっつけただけでは、
火はつきません。
どちらも煙草をくわえたままで、
火をもらう方は、
煙草がくっついた瞬間に強く吸うんですよ。
すると火がつくってわけです。
今となっては、
ほとんど見られない場面ですね。
だいたい煙草を吸う人が少ないし、
そんな近しい仕草というものも、あまり一般的ではなくなりました。
そういえば、映画やテレビなんかでも、
瀕死、あるいは殺される前に、
「最後に煙草を一服。」
という場面もよくありましたよね。
太陽に吠えろで松田優作が死ぬシーンでも、
煙草をくわえていたような。
だけど、
予備校生がいきがってる姿はさておき、
大人の男の仕草というものは、
子供の目から見ても、なんだか色っぽかったように思います。
と言っても、煙草を吸った方がいいと言ってるわけではありませんが。
話はちょっと変わりますが、
電話を借りるということも、もうなくなりましたね。
「呼び出し電話」ですよ。
私が子供の頃は電話がない家が一般的だったので、
「恐れ入りますが、お隣のサトウさんお願いします。」
みたいなことも、割と当たり前でした。
怒って取り次がないって話はあまり聞かなかったから、
普通のことだったんでしょうね。
住所録なんかにも
(呼 タナカ)なんて書いてありましたし。
なんだかノスタルジックになってきちゃったわ。
今夜は友達と飲み会です。
楽しんできま~す。(と、結論のないまま終わる。)