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Posted by みやchan運営事務局 at

2011年10月04日

ローカル線の風景 その2




思い出したことがあって、書きたくなりました。

私は大学を卒業後、広島に電車通勤しておりました。
昨日ご紹介した呉線で、です。当時は国鉄だったかな?

その日は仕事が終わったあと、
駅の本屋で筒井康隆の新しい文庫本を買いまして、
それを早く読みたくて読みたくてたまらず、

ホームに待っていた電車に飛び乗ったのです。

乗ったとき、
「ん?」
という軽い違和感はあったのですが、
とにかく早く座ってページを開きたかったので
そんなことは、すぐ消し飛んでしまいました。

思ったとおりの内容に笑いをこらえつつ、
すぐに私は本に夢中になってしまいました。

いつ電車が出たのかも気付かぬほどだったのですが、
かなり時間が経ってからの車内アナウンス、

「次は八本松~、八本松~」
という声に、はっと我に返りました。

こ、こ、これは呉線じゃない!!!!!!
山陽本線だ!!!!!

呉線と山陽本線は、しばしば同じホームに停車します。
それで、間違えたんですね~。

このまま乗ってたら、岡山に行ってしまいます。
降りて引き返すしかありません。

次の駅で降りて、逆の下り線のホームに向かう私。
だまってたらキセル乗車になるので、
駅員さんに事情を話しました。

当時はわりとユルかったせいか、
次の下りに必ず乗るようにと言われただけで、おとがめ無し。

それはいいのですが、
さっきから、ずっと私の後ろに一人のオジサンがついて来ているのです。
私が間違えた電車に乗っていた人で、
一緒に降りてからずっと。

ちょっと気味悪くて、pia masa・・いや、
ヘンタイか???と警戒していました。

私が逆のホームに行っても、ずっとついて来ます。
そして隣りに立っているので、
さすがに怖くなってきました。

するとそのオジサンは、
誰に言うともなく口を開いたのですが、

「わし、腹が痛い言うて仕事を早引けして帰ったのに、
 今から広島駅に戻ったら、
 会社の連中と一緒になってしまうわ。どうしょう・・。」

オジサン!!!あなたもですか!!!!

本当に偶然なのですが、
その人も私と同じで呉線と山陽本線を間違えて乗ったのです。
そして、しかたなく引き返そうとしているのでした。

今から引き返して、会社の人達と顏を会わせたとき、
そのオジサンはどんな言い訳をするんだろうと思ったら、
おかしくておかしくて、一生懸命笑いをこらえたのです。

それから引き返して呉線に乗ったとき、
最初の軽い違和感の理由がわかりました。

山陽本線は、とても静かだったのです。
全員が行儀よく、押し黙った人々でしたが、
呉線は乗った途端に乗客のざわめきが聞こえ、
なんだか、知らない国から帰ってきたような安心感が。

すぐに友達が乗り込んできて、
私に話しかけてきます。

今までの顛末を話すと大ウケで、
失敗の心細さを打ち消してくれるのでした。

今となっては懐かしい思い出。

いやあ、ローカル線って、
本当にいいものですねえ。  

Posted by キリンさん at 14:30Comments(6)王様の耳はロバの耳