2011年02月08日
老い先を考える

昨日、70代とおぼしき女性客が来られ、
「卵もかしわも、恐ろしくて食べられん。」
と言われるのです。
そう、鶏インフルエンザのことを心配されてるんですね。
ご存知のように、
卵も鶏肉も、安全なんですけど、
頭から怖いと思い込んでるご様子。
「いえいえ、卵もかしわも大丈夫ですよ。
安心して食べて下さいね。」
そう説明していたら、
やはり70代くらいの女性の方が横から
「ホントに大丈夫ですよ。
私なんかむしゃむしゃ食べてます。」
そう明るい声で、加勢して下さいました。
「そうですか?大丈夫ですか?大丈夫ですか?」
何度も聞き返されるたびに、
二人で
「はい、大丈夫です、大丈夫ですよ、安心して下さいね。」
そう元気づけてたら、
「そうですか。わかりました。」
と言って、その方は帰って行かれました。
加勢して下さった方もほっとした様子で、
「よかったわねえ。
あんな風に誤解されたんじゃ、生産者もたまったもんじゃないわ。」
とおっしゃっていました。
私もそう思ったのですが、
それとはまた別のことも考えていました。
お二人は、どちらも常連さんで、ほぼ同じ年頃の方なのですが、
見た目が全く違うのです。
最初の方は、
眉間に太いシワがくっきり刻まれ、
前かがみで地味な服装。
思い込みが激しく何事にも神経質。
あとで加勢して下さった方は、
いつも明るい表情でつねに微笑んでいる印象。
考え方が柔軟だし、
会話する時も手振り身振りも豊かで、
相手を楽しくさせるのです。
服装も、派手ではないけど感じよいオシャレをされてるし。
でもね、
最初の方の方が、
一般的に言うところの、幸せな境遇なんですよ。
あまり苦労なく人生を送って来られ、
今も困ったことがあるわけではないのです。
それに比べて、
後の方の方は、身体にも不自由をかかえており、
今までも苦労を重ねておられるのです。
それなのに、この印象の違い。
真反対に見えるのは何故?
これは「若く見える」のとは少し違います。
年齢相応にみえても、
印象が若々しいというか、活き活きとしているのです。
色んなご苦労にめげることなく、
それを人生の栄養として蓄え、
人間力を上げてこられたのではないでしょうか。
いいなあ、そういうの。
70代まで、まだちょっとあるけれど、
私の老い先は活き活きしたものでありたいわ。
そう思った昨日でありました。