2011年02月02日
善と偽善の間

漫画のタイガーマスクを読んでいた世代です。
最終回では、
伊達直人はトラックに轢かれそうになった子供を助けようとして、
自分が轢かれて死んでしまいます。
なんちゅうヒサンな。
さて、先日からタイガーマスクさんによる寄付が相次いでニュースになっていました。
今朝のテレビで、寄付される側の話が取り上げられていましたが、
良い面、悪い面、色々あるようでした。
困った人のために何かをするって、
本当に難しいことです。
私はそれがとても苦手です。
予備校に行ってた頃のことです。
いつもは自転車で通っていたのですが、
雨が降るとバスを利用していました。
ある雨の日、予備校からの帰り、
バスから降りた時のことです。
私は傘を持っていたのですが、
一緒に降りた高校生の女の子は、持っていませんでした。
その日は午後から雨だったので、
登校する時に持って行かなかったんですね。
キリンさんが用意良すぎるのはヘンだって?
友達が貸してくれたんだよ。
ほっといてちょうだい。
私のことはどうでもいいのですが、
結構な降り具合の中、
濡れて帰ろうとするその女の子は、
とても気の毒に見えました。
思わず傘を差しかけて
「家まで送ってあげますよ。」
と言ったところ、
彼女はとても驚いたようでしたが、
小さな声で
「ありがとうございます。」
と言ってくれたのでした。
5分くらい歩いたでしょうか。
親切心を出したものの、
なんだか妙に気まずくて、
お互いずっと黙って歩を進めるばかり。
息が詰まりそうで、
「高校生?」
「はい。」
しかし、その後が続かない・・・。
「傘、持って行かなかったの?」
「はい。」
あああああ、なんてあたりまえのこと聞いとるんじゃ~~!!!!!!
「里見八犬伝、見てる?」
「いいえ。」
なんでこんなこと聞いたのかわからないのですが、
これは本当の会話です。
意味不明すぎて忘れられんのだ。
彼女の家に着いたとき、
どれほどホッとしたことか。
相手もきっとそうに違いないのだが。
疲れました。
でも、その後、妄想は始まったのです。
「優しそうなお姉さんに助けてもらった。」
なんて、お母さんに報告したりして。
「まあ、それは是非ともお礼をしなければ。」
なんてことになったりして。
「名前も聞かなかった。どうしよう。」
「バス停で待ってたら、会えるかもよ。」
なんて言われてたりして。
バス停で会ったら色々と聞かれるだろうなあ。
「まあ、広島から来てはるんですか?
えらいねえ。
よかったら家に来て晩ご飯でもいかが?」
なんて展開になったりして。
「うちを我が家と思って、いつでも来て下さいね。
そや、次の日曜日に、デパートに行きましょ。
洋服でもバッグでも、好きなモン買うてあげるさかい。」
きゃ~~~~~!!そんなことになったら、どうしょ~~~~!!!!
・・・・ま、どうしようもこうしようも、
そんなことは何一つ起らなかったわけですが。
しばらくの間、
バス停でそわそわして疲れてるうちに、
線香の火が消えるがごとく、
静かに幕を閉じた事件でありました。
難しいもんです。