2013年03月04日
母の涙と私の涙

漢方薬に、
乳幼児のひきつけ、むずかり、夜泣き、歯軋りなどに使われる、
「抑肝散(よくかんさん)」という処方がありますが、
この薬は原則として
「子母同服」、つまり、母も一緒に飲めよという薬です。
母親の精神状態がどれほど子供に影響するか、
昔からわかってたんですね。
私が母の涙を見た一番古い記憶は、
2歳の時。
まだひいおばあちゃんが元気だった頃のことです。
弟はまだ生まれておらず、
家の中でわがまま一杯だった私。
その頃の私は、ど偏食。(ど変態ではない)
甘いもの、果物、卵、食べられるものはそのくらいでした。
そんな私に砂糖をなめさせたのが、ひいおばあちゃんです。
そりゃあ、喜んで舐めますわね。
子供ですから。
日頃からそれを良く思ってなかった母。
虫歯になるし、好きなものしか食べないのは健康によくない。
アタリマエですわね。
ある夜のこと、
晩ご飯を食べなかった私はひいおばあちゃんに
「砂糖なめる~。」
とねだり、
ひいおばあちゃんは
「よしよし。」
と砂糖壷を持ってきたのですが、
辛抱タマラズ母が
「やめてください!!!」
と強い口調で言いました。
いつも従順な母の抵抗に驚きながらも
ひいばあちゃんは
「何も食べさせんわけにはいかん!!」
「体に毒ですから!!」
「砂糖は栄養がある!!!」
「虫歯になります!!」
間に挟まれておろおろ状態の私。
らちがあかんと思ったのか、母が私を睨みました。
「どうするん?砂糖たべる?」
ときつい口調で言われました。
「食べんさい。食べてええで!!」
と、ひいばあちゃん。
子供というのは卑怯なヤツで、
二人の力関係を天秤にかけます。
ペットと変わりません。
ひいばあちゃんの方が上・・・。
「砂糖、食べる・・。」
ほら子供は正直じゃねえと勝ち誇り、
砂糖壷を開けるひいばあちゃんの前で唇をかみしめる母でありました。
その後、母と一緒にお風呂に入ったときのこと。
母は私の身体をタオルで洗いながら、
口を真一文字に結び、、
ぽろぽろ涙を流し始めました。
なにもしゃべらず、
ただ私の身体を洗う母。
さっきのことで、母が傷付いている。
小さな子供にとって、
母親は世界のほとんどを占める存在です。
その母がこんなに傷付いている。
しかも、
傷つけたのは誰でもない、私自身なのです。
それは恐ろしいことでした。
こらえきれず、私も泣き始めました。
声を出して泣きました。
母は小さいけど厳しい口調で
「泣きんさんな!」
と、短く私をたしなめました。
泣いてはいけない。
一生懸命こらえようとするのですが、
涙はぼろぼろこぼれ、しゃくりあげる声も止まりません。
どのくらいそうしていたのか、
その後のことは全く覚えていません。
きっとお風呂からあがったら、
ぐったり疲れて寝てしまったでしょう。
寝ている私の顏を見ながら、
母は何を考えたでしょうか。
小さな子供は、
まだ母のお腹の中からちゃんと卒業できてない、
そんな頼りない存在なのでしょうね。
お互いがとても大切なのに、
傷付け合ってしまうことも多い。
でも、それを積み重ね乗り越えることで、
さらに信頼感が増していくものかも。
何が言いたいのか自分でもよくわかりませんが、
これを読んで自分なりに皆さんが考えてくれればなと思います。
さて、今日はいいお天気です。
今週も元気だしていきましょうね。