2012年03月29日
早く大人になりたい

タイトルを見て、
「そうね~、キリンさんったら、
年くってるわりに中身は子供だもんね~。」
そう思ったアナタ、お昼休みに体育館の裏に来なさい。
子供のころ、
早く大人になりたいという瞬間が多々ありました。
好きなアニメを見せてもらえない時。
夜遅く目が覚めたら、大人だけでご馳走を食べていた時。
お年玉を全部巻き上げられる時。
「子供はあっちに行ってなさい。」と言われる時。
一番古い記憶は、
以前も言ったことがありますが、
ひいおばあちゃんと一緒におうどん屋さんに行った時です。
繁盛していたお店だったので、いつも満員でした。
お客さんは男性がほとんどでしたね。
田舎ですからサラリーマンなどいるはずもなく、
お百姓さんとか、大工さんとか、左官さんとか、
作業着の人ばかり。
枯れ木のようなバーさんと、小さな女の子がお店に入ると、
みんな無遠慮にじろじろ見るのです。
ひいばあちゃんは、
そんな視線などお構いなしに、
さっさと歩いて店の一番奥の席まで私を連れていき、
おうどんを頼んだら、
必ずタバコを吸うのでした。
おっさん達がどんなにこっちを見ていても、
周りには何もないかの如く、
あごを上げて美味そうに煙をふかすのです。
あこがれました。
おうどんが来ると、
小さなお惋に私の分を取り分けたあと、
細い竹筒に入った七味唐辛子を、ぱっぱと振るのです。
これにもあこがれました。
大人になったら、きっとこの店に一人で入って、
タバコをふかし、七味唐辛子をうどんに振るのだと。
実際に大人になってみたら、
タバコは吸えないし、唐辛子も好きではないことが分かったのですが。
もう少し大きくなってあこがれたのが、
万年筆。
いきつけの文房具屋さんに入ると、
所狭しと色んなものが詰まっている中で、
ガラスのカウンターだけは別格でした。
上品な布を敷いたケースの中に、
ピカピカ光る万年筆が収められているのですが、
ゆったりと贅沢にスペースをとっていて、
あきらかに鉛筆やボールペンとは別格扱いなのですよ。
大人になったら、
このケースを開けてもらって
万年筆を買うのだ。
そして、横に置いてある、
皮にバラの刺繍がしてあるペンケースも買って、
その中に入れるのだ。
そう決めていました。
今となってみると、
使うのはボールペンばかり。
パソコンも発達して、
書くことなどめったにありませんが。
しかし、結果はどうあれ、
子供の頃に感じていた大人への憧れは、
成長に欠かせないものだったのでしょうね。
大人だけが食べられるもの、
大人だけが入れる店、
大人だけが行ける場所、
大人だけが許される行為、
たくさんありました。
いかがわしいものも含めて、
憧れの大人に早くなりたかった。
今の子供はどうなんだろうね。