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Posted by みやchan運営事務局 at

2010年05月06日

傷つけてしまったこと





昔の思い出は、
宝石箱の中の宝石のようなもので、
取り出すとキラキラと輝き、
心を慰めてくれるものです。

でもそれは、
暖かく楽しいものばかりではなく、
苦いものも含まれており、
「なかったことにしたい」
と思ったりもするのですが、
それもやはり宝石には違いありません。

高校生の頃、ある同級生が入院しました。
彼は一年生のときに同じクラスだった人で、
席が近かったこともあり、
お互いに憎まれ口を叩き合うのが楽しいという、
少し気になる男の子でした。
(私はとても気が多かった)

色んな人達がお見舞いに行っていましたが、
私はなかなか行けませんでした。

心配してるのを悟られたくなかったから。

すぐに退院するかなあと思っていたのだけれど、
それは意外に長引き、
何ヶ月かたった頃に、やっともうじき退院できそうだと、
噂で聞きました。

それでやっと、行けると思いました。

友達のY子についてきてもらって病室を訪ねた私は
「もうすぐ退院なんじゃろ?
 一回くらい見舞いに来ておかんと、
 何言われるかわからんけん、来てあげたよ。」

と、相変わらず憎まれ口をたたき、
彼は苦笑しながら
「変わらんヤツじゃのお。」
と応えてくれたのです。

でも、そのあと私達が帰るとき、
彼はエレベーターまで見送ってくれたのですが、
古い病院の長い廊下を歩きながら、
ぼそっと言ったのです。

「冗談はわかっとるけど、
 あんなこと言うな。」

初めて見た、彼の真面目な顏でした。

「わかっとるけど。」

ヒドイ!!ヒドイぞ!!!
なんてヒドイやつなんだ!!!私!!!!!

そう言われて、私は恥ずかしくて悲しくて、
なんと自分勝手で思いやりのないことを言ったのだろうと、
思い知ったのです。

若いころは、
敵もいないのに鎧兜で身を固め、
常に槍を構えて生きていたような気がします。

自分が恥をかきたくないという一心で、
傷つけた人のなんと多いことか。

それからしばらくたってから、
お詫びのつもりで彼に
「エビフライおごってあげる。」
と言うと、
彼は素直に出てきて、
エビフライをおごられてくれました。

それが彼とのたった一度のデートでありました。

卒業してからは会うこともなく、
元気だという噂だけは耳にしていたのですが、
いつだったか、
突然倒れてこの世を去ったと聞きました。

ちゃんと謝りたかったね。ごめんね。
察しのよい人でしたから、
エビフライの意味はしっかり理解してくれてたはずだけど、
大人になった今は心が痛みます。

苦い思い出ですが、
これもまた宝石の一つであります。

さて、連休も終わりました。(ずっと働いてたけど。)
気持ちを入れ替えて、頑張っていきましょう。  

Posted by キリンさん at 12:54Comments(19)王様の耳はロバの耳