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Posted by みやchan運営事務局 at

2013年10月24日

お部屋に二人きり





それは中学3年生の春でした。

その頃ずっと片思いしていた、
ひとつ年上の幼馴染が家に遊びに来てくれた時のこと。

まず、庭で立ち話をしました。
私は当時、高原の少女を夢見ていたので、
白樺に手をやるかわりに、
椿の木に手をそっと置いてみました。

むにゅっと、妙な感覚が・・・・・。

青虫の上に手を置いていたのです。

「勇敢なやつじゃ。」
と褒められ、騒ぐわけにもいかず、ただ笑う私。

それから家に入って何かして遊ぼうということになりました。

そこで始めたのが五目並べ。

ちょっと弱い方が女の子らしいよね。

なんて考えるまでもなく、こてんぱんに負ける私。
一度も勝てず、負け続けたのです。

それで良いのだ、女の子なんだから。
と、自分をなだめていたのですが、
悲しいほどに負けず嫌いだった私は頭に血がのぼり、

「もう一回!!」
と挑み続け、彼があきれた顔で
「そろそろやめようや。」
と言うまでやめなかったのでした。可愛げも何も、あったもんじゃない。

それから私の部屋へいき、
二人でおしゃべりをしました。

そのうち、何か彼が言いたそうにしているのに気付いたのです。

意を決したかのように話しかける彼。
「ねえ・・・・。」

来る!!

意味もなく身構える私。ドキドキは最高潮に。

そして彼は我慢しきれずに、こう言ったのです。

「鏡、磨いてもええ?」

「は?」

「鏡が曇っとるんが、どうしても気になっていけんわ。」

そして彼は私の鏡をピカピカに磨いて、
満足そうに帰って行ったのでありました。

なんだかなあ、こんな調子では、
両想いになれる可能性は0%でしたね。

その日のことは、
青虫の柔らかい感触とともに、忘れ得ぬ思い出なのでありました。  

Posted by キリンさん at 17:29Comments(2)王様の耳はロバの耳