スポンサーリンク


上記の広告は一定期間更新のないブログに表示されます。新しい記事を書く事で広告が消す事ができます。

  

Posted by みやchan運営事務局 at

2013年10月11日

母あり、遠方より来たる




今年の3月に、80歳となった私の母。
いつもは広島県にある私の生家で、猫と一緒に暮らしております。

それは火曜日の夜のこと。
一本の電話から始まりました。

「明日、行ってもええ?」

「え?明日?」

「うん。」

別に何かあったわけでもなく、
ボケないために、思い立ったらすぐ行動しようと決心したそうな。

いきなり言われても、こっちも仕事があるし、
色んな準備が、特に心の準備ができてないってば。

だけど母はマイペース。

「行って、掃除してあげる。」

・・・・・・・・・・お母さん、うちの中を見たんですか?

もはや止めても無駄なので、
じゃあ駅に着いたら電話してねと言ったのですが、

「一人で行ける。」
と言い張る母。

でも、なにしろ年齢が年齢なので、
ちゃんとわかるのかなあ。
携帯も持たない母ですもの。

「そしたら、ボンベルタの店に来てくれる?」
と一歩譲る私。

「うん、わかった。」

その軽い口調に、ほんまかいな、と疑っていた私。

案の定、直接うちの裏口から入ってきました。
よく来られたなあ、思ったほどボケもいないのかと感心してると、

「あのね、セブンイレブンの人に教えてもろうたんよ。」

「は?」

「セブンイレブンのね、横から二番目の若い男の人よ。」

意味がわからん。

「近くまで来たのはわかっとるんじゃけど、たどり着けんかって、
 セブンイレブンで聞いたんよ。
 そしたら地図やら出して、一生懸命探してくれたんよ~。ええ人じゃったわ~。」

横から二番目の意味はわからないままだけど、
要するに、セブンイレブンでご迷惑おかけしたのですね、お母さん。

どっと疲れる私を後目に、ウキウキと楽しげな母なのでした。

夕食を済ませると、さすがに疲れたらしく、
「寝る。」
と二階に上がっていきました。

そのあと、翌日どうするという話になったのですが、
主人も私も外せない仕事があり、
母に付き合うわけにはいかないのでした。

「僕が青島に連れていくわ。」
と言ったのは息子。木曜日はお休みなのでした。
ラッキー。

「私も行く。」
と娘。

二人で青島に行き、温泉にでも入ってこようかとか、日南まで行こうかとか、
話し合っていたようです。うう、産んでてよかった。

そして翌朝のことです。

「帰るわ。」

「はい~???????」

「私がおらんと、アラシがどうなっとるか心配なんよ。」

アラシとは、同居している猫の名前です。
隣のオバサンに世話を頼んできたと言ってたはずだけど。

「たぶん今頃あっちこっち探し回って鳴きょうるじゃろうて。
 可愛そうなアラシ!!!!!」

・・・・・・・・・もうこうなったら、止めても無駄ですね、お母さん。

しょうがないので、朝ちょっとだけ宮崎神宮に参拝し、
息子と娘が熊本まで車で送っていったのでした。

画像は、宮崎神宮で私が撮影した母。
のんきな笑顔がアナタらしいよ、お母さん。

何しに来たんじゃ?とブツブツ二階にあがり、
お布団を片づけた私なのですが、
そこで気づいたことが一つ。

二階にある使ってない台所の流しが、
いつの間にか、ピカピカに磨いてありました。

私はしばらくそこに黙って立ち、
台風のように去った80歳の母を想ったのです。

  

Posted by キリンさん at 12:31Comments(8)王様の耳はロバの耳