2012年05月14日
風に舞う

それは中学一年の秋も深まる頃でした。
友達と二人、
稲刈りも終わった田んぼ道を歩いていた時のこと。
風は冷たく、二人は肩を寄せ合っておりました。
あ、女友達ですから。(誰もそんなこと聞いてない)
時おり突風がぴゅうと吹き付けるたびに、
小さくきゃあと叫びながら、歩いておりました。
その時、
彼方の空の方から、
何かが風に舞いながらこちらに飛ばされて来るのです。
ひらひら、ひらひらと。
んんんんんんんん????????
右に左に舞いながら、
それが私の正面に来たとき、
左手をのばして、はっしと捕まえた私。
それはそれは、千円札・・・・・。
ナーンダ、千円かと思ったアナタは知らない。
当時、100円あれば、
学校のパン屋さんでサンドイッチが4個とコーヒー牛乳が買えたことを。
塾の月謝が800円だったし。
友達と二人、何故かあたりを伺い誰もいないのを確かめる。
ぐるりと田んぼですから、誰もいるはずがありません。
二人は狂喜乱舞。
キャーキャー、千円!!!せ!ん!え!んーーーーーー!!!!!
でも、そこでまた正気に帰る。
どこから来たの?このお金・・・。
まわりに何もないのに。
次に考えたのが、
もっと飛んでくるかも!!!!!???????
空中に目をこらしたり、
ぐるぐるまわってみたり、
足元の草むらを探したり。
なかった。
そこで更に冷静になってみました。
「どうする?警察に届ける?」
「う~~~~~ん・・。」
これが財布に入っていたら、
間違いなく警察に届けたに違いないのですが、
ハダカのお札だから微妙です。
「お母ちゃんに聞いてみようか。」
「う~~~~~~ん・・・・。」
お母ちゃんが警察に届けるとかなんとか、
ネコババされるような予感が。
「先生に聞くんはやめようね。」
「うん。」
先生に対する信頼なんて、こんなもんです。
結局このことは、
二人の秘密となったのでした。
ところが友達は500円で本を買い、
お母さんにバレてしまったそうですが、
笑って許してもらえたけど、
今度また拾うようなことがあったら、
お母ちゃんに必ず知らせると約束させられたとか。
私?物にすると見咎められるから、
お好み焼だの汁ソバだの、
もっぱら栄養補給に遣わせてもらいましたよ。
(単に食いしん坊だっただけという噂も)
あの千円、どこから来たんだろう。
そして今だったら、いくらの価値なんだろう。
一万円はしないよね。
でも、それくらいの気分でありましたが。
アナタならどうする?警察に届ける?親にまかせる?さて。