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Posted by みやchan運営事務局 at

2012年05月09日

惜しみなく愛は奪う


同時期に二人の女性に求婚したという俳優さんが
テレビに出ていました。

それで、一人の男性を思い出したのです。

私が予備校に通い始め、
やっちゃんとヨーコはんという二人の友人が出来たばかりの頃。

三人は、いつも前から二番目の列に座っていました。
勉強がんばろう!!という思いに燃えていたのだけれど、
最前列に座るのは、
張り切りすぎてるみたいで、こっぱずかしい・・・。

そんな私たちの前、つまり最前列に座っていたのが、
「峰さん」という男子であります。

山崎勉と寺田農を足して二で割って、うんと若くした感じ。
寡黙で渋い、その姿は、
チャラい男の子達の中で際立った存在だったのです。

しかも、
予備校の模試の結果が張り出されてびっくり。

国立文系コースの中で、
堂々のトップを飾っていたのですよ。

うちの予備校は、
全盛期には300人の京大合格者を出したそうですから、
決して低いレベルではありません。

峰さんって、峰さんって、何者???????
と、私たち三人は興味津々になったのも不思議じゃないですよね。

それから色々ありまして、
仲良くなってはみたものの、
なんだか、コイツ、変なのです。

なにしろものすごいヘビースモーカー。
それに、
喫茶店で私がバナナジュースをたのんでも、
自分は
「ウイスキー、ダブルで。」
と、白昼堂々の飲酒。しかも強い。

それに時々なんだかワカラン錠剤の入ったビンを出して、
ザラザラと飲んでいる。

極め付けは、
突然ふるえ出したかと思うと、
バッグから注射器を出して自ら打つ。

下宿があるのが
阪急沿線の「十三(じゅうそう)」という駅。
当時は有名なトルコ、今で言うソープランド街があるところ。

趣味はと言えば、
居合と金魚の飼育。
それから「薔薇族」というホモ雑誌への投稿。

なのになのに、試験を受ければ一番・・。

ある日、彼が私に言いました。

「アンタといる時が一番落ち着く。
 オレら、付き合おうか。」

私は彼みたいなワケがわからんタイプはまっぴらごめんだったし、
信用も出来なかったので、
当然ながらお断り。

ところがその後で、やっちゃんが深刻な顔をして、
私とヨーコはんに相談があると言うのです。

「どないしたん?」

「それがな、それがな、
 峰さんから、こんどお母さんが来るから会うてほしいって言われてん。
 紹介したいって・・・。」

「はあ~~~~???何それ。
 私、昨日付き合ってって言われたで。
 落ち着くとかなんとかで。」

するとヨーコはんも

「私も言われた。
 アンタみたいな人が彼女やったら幸せなんやけどって。」

なんじゃそりゃ~~~~~~!!!!!!!!

ヨーコはんが
「薬でアタマおかしいなってんのとちゃうん。」
と言ってるところに、
噂の峰さんがふらふらと通りかかりました。

「ちょっと、峰さん!!
 アンタ、私ら三人を同時にくどいて、どういうつもり?
 バレるって思わへんかったん?」

すると彼は前髪をかきあげながら、

「なんで?僕はただ思うたことを正直に言うただけ。
 嘘やないし。」

そう言うと、さっさと行ってしまったのです。

後に残されたおぼこ娘三人は声も出ず、
開いた口がふさがらないままに彼の後姿を見つめたのでありました。

今思い出しても、ヘンな人だった。
どうしてるんだろ。
会いたいような、会いたくないような。  

Posted by キリンさん at 11:26Comments(5)王様の耳はロバの耳