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Posted by みやchan運営事務局 at

2012年10月29日

キャプテン


中学校のとき、
ソフトボール部に入っていました。
前にも言ったよね。

高校では部活をしなかったので、
中学校の3年間が、人生における部活生活のすべてです。

ここで私は多くのことを学んだのですが、
その中でも一番教えられたのがキャプテンから。

私が二年生だったときのキャプテンこそ、
本当にキャプテンらしいキャプテンだったのです。

たとえば守備練習のとき、

「腰を落として。」
「はい。」

しばらくして、
「アンタ、腰を落とすの意味わかっとる?」
「わかりません。」

「わからんのに、はいって言うたらいけんよ。
 どうやるんですか、言うて聞きんさい。」

そして、自らやって見せ、
「やってみて。」
私がやってみると、
「そうそう、それでええ。忘れんようにね。」

そんな感じ。

ある日、バスケットボール部の一年生が私に相談に来ました。
その後輩は私の仲良しで、
とても可愛がっていた女の子でした。

「私、バスケットやめてソフトボールやりたいんですけど、
 入れてもらえませんか?」

「えっ、ホント?もちろんよ!」

仲間が増える嬉しさ。
それも可愛がってる子が一緒にやりたいと言ってくれる。

私は彼女を連れ、勇んでキャプテンのところへ。

キャプテンは私たちの話を聞くと、しばらく黙っていました。

大喜びしてくれるだろうと考えていた私は、
少し拍子抜け。

やっと口を開いたキャプテンは

「バスケ、練習がきついよね。かなり厳しいし。それが辛い?」

静かな口調だったけど、なんとも言えない迫力のある言葉。
返事が出来ない彼女に、

「ソフトもバスケに負けんくらい、厳しいよ。
 仲のいい先輩がおっても、甘やかすことはないけんね。
 
 バスケが続かんで、楽しよう思うて来るような部員は、
 うちには要らんけん。」

私はどうしていいかわからず、困り果ててしまいました。
でも、そこで後輩は口を開いたのです。

「違います。バスケの練習はきついけど、我慢できました。
 楽したいんじゃありません。」

「じゃあ、なんで?」

「私は身長が低いんです。」
たしかに、彼女はチビでした。
クラスで並ぶと、一番前かその次くらいのレベルで。

「友達につられてバスケに入ったけど、
 こんなに身長で不利になるとは思いませんでした。

 もともとソフトの方が好きでしたし、
 ずっと選択を間違えたと思ってました。

 ソフトの練習が気になって、時々見てたけど、
 バスケに負けんくらい厳しいのはわかってます。

 でも、やっぱりやりたいことがやりたいし、
 改めるなら早い方がええと思って。」

その後も、キャプテンはいろんなことを彼女に質問し、
彼女は一生懸命、しっかりと答えていました。

私はずっと黙っていました・・・。

最後にキャプテンは

「わかった。アンタの気持ち。
 それだけしっかい考えたんなら、うちも入ってほしい思う。

 バスケのキャプテンは友達じゃけん、
 ちゃんと話したらわかってくれる思うわ。

 早い方がええけん、今から一緒に話に行こうか。」

「はい!!」

というわけで、彼女はめでたくソフト部の一員となり、
卒業するまで部活を全うしたのであります。

私は自分の浅はかさが恥ずかしく、
キャプテンの冷静さがとても輝かしく、

「ついていきます!!」
と、心の中で誓ったのでありました。

そして、その場の感情に流されるのではなく、
ちゃんと冷静に見る目を持とう、そう誓った私ですが、
なかなか、この年になっても難しいですね。

さて、今週も元気だしていきましょうか。  

Posted by キリンさん at 11:13Comments(7)王様の耳はロバの耳