2012年01月17日
殴りこみの記憶

それは、私が中学3年生のときでした。
「隣りの中学の男子らが殴りこみに来るんじゃと。」
という噂を聞いたのは。
「殴りこみ~?なにそれ。」
「うちの番長と対決しに来るらしいよ。」
「番長・・・そんなの、うちにはおらんじゃろ。」
「イワオカくんのことらしいよ。」
イワオカ君というのは、
柔道部に所属する身体がデカくて強い男子のこと。
外ではケンカも強いと聞いていましたが、
校内で誰かに暴力をふるったり、
いじめたりすることはないので、
怖いというイメージも番長というイメージもないのですが。
「それで、いつ?」
「今日らしいよ。」
噂を聞いて、朝からずっと緊張する私達。
そして、それは数学の授業中のこと。
廊下をドヤドヤと歩く音がしたと思ったら、
教室の戸がガラッと開いたのです。
それは見たことのない男子達で、
戸を開けると同時に、
「イワオカはおるか!!??」
と聞きました。
その時に授業をしていた数学の先生は、
うちのクラスの担任でした。
担任がどんな反応をするのか?
実は、この先生には武勇伝があったのです。
前に先生が赴任していた中学校は、
とても荒れておりまして、
生徒もですが、父兄がちょっとヤバかったのです。
ある日、先生が担任しているクラスの父兄で、
ヤーさんをしているお父さんが、
何かを逆恨みして、
こん棒を片手に学校へ乗り込んで来たのだとか。
先生は騒がず冷静に対応しておられたのですが、
急に相手は怒り出し、
いきなりこん棒で先生に殴りかかってきたのだそうです。
先生は、そのこん棒を素手ではっしと受け止め、
厳しくその父兄を諌めたところ、
その後は大人しく帰って行ったのだとか。
カッコいい!!
見た目はウラナリっぽくてイケてないけど、
我らが担任はやる時ややるのです。
「イワオカはおるか!!??」
クラス全員が固唾を飲んで先生の反応を見守ります。
すると先生は、
背筋を真っ直ぐ伸ばし、片手を真っ直ぐに上げて二階を指差し、
きっぱりと言い放ったのです。
「イワオカは5組じゃ!!」
クラス全員が心の中で、
吉本新喜劇のようにコケまくりました。
殴りこみ集団は
それを聞くと戸を閉めて、ドカドカと去って行き、
先生は何もなかったかのように、
授業の続きを始められたのでありました。
その殴りこみが
その後どうなったかは覚えていませんが、
たしか大きな騒ぎにはならなかったはず。
器物破損も、誰のケガもなく、
昔の殴りこみは紳士的で可愛いもんでしたなあ。
その後、先生に対する評価は変わったのか?
それが、
どうやら先生の武勇伝なんて
もともと誰も信じてなかったらしいのです。
だから、やっぱりか~と思った者がほとんどでした。
数学の授業はとても上手だったので、
誰も文句はなかったの。
先生だって人間だもの、
いろいろ事情はあるものなのだ。
今にして思えば、
なかなか大人なクラスでありましたね。
話は変わりますが、
3月3日土曜日に、
酵素の味噌を作ります。
詳しくはまたお知らせしますね。
ではまた。