2014年10月02日
おとなは だれも はじめは子どもだった。

大家と言われる人たちが何人も、
「思い出に残る一冊」の中で挙げていたこの本。
ずっと気になっていたのですが、
今頃になってやっと読む機会を得ました。
作者の中勘助が、自身の子供時代を書き綴った本です。
1885年生まれだそうなので、
私のひいおばあちゃんが子供だった頃でしょうか。
そんな昔のことなのに、
文章の中から、その時代の風景が鮮やかに目に浮かびます。
病弱で人見知りでワガママだったという作者。
やせっぽちで目と頭がデカく、
タコと呼ばれていたという小さな坊ちゃんを、
その背に負って走る伯母さんの姿が容易に想像できるのです。
神田のお祭りの勢いと喧騒。
色とりどりの屋台や駄菓子の数々。
雨の日の、ひっそりとした仏間。
引越した先の小さな畑など。
見たこともない景色なのに、
懐かしくなるのは何故でしょうか。
みんな、自分と年代や環境は全く違うにしても、
同じ年頃の子どもに帰って、勘助坊ちゃんを見つめるからではないでしょうか。
私はご存じのように、自分の子供時代を振り返るのが好き。
そして他人の子供時代を覗き見るのも大好きです。
全く未知の世界であったり、
自分と同じだよ~、と共感したり、
もう二度と味わえないであろう、瑞々しい感動を、
ちょっとだけ体験できるような気がするのです。
「思い出すという行為は、創造する行為に似ている」
もうずっと以前、何かの本で読みました。
脳科学者の著書だったような。
だから、思い出すとワクワクしたりするんだって。
ボケ防止にも、なるんだって。
近頃では、認知症の対策として取り入れられていると聞きます。
さもありなん、です。
『銀の匙』、まだ読んでない人にはおススメの一冊ですよ。
漫画の方も面白いけどね。(持っている)
自分の子供の頃のことも、
たまには思い出してみては?