2014年09月11日
地域に根差す薬屋さん
「こころの優しい薬屋さんです
お茶もお菓子もブドウ酵素もございます」
薬局、薬店、ドラッグという言い方がありますが、
むかしは「薬屋さん」という言われ方が一般的でありました。
今となっては、〇〇屋さん、という呼び方は、ほぼ死後であります。
八百屋さん、魚屋さん、酒屋さん、肉屋さん、電気屋さん、乾物屋さん、荒物屋さん、
ご近所にありますか?
先日、また一件の薬屋さんがお店を閉められました。
頑張ってる様子だったので、ショック。
でも、それと同時にやっぱりそういう時代なのね、という思いもあります。
私は薬とは無縁の世界に生まれ育ちながら、
気が付くとこうして薬屋さんのオバサンをしております。
若いころは、薬屋さんがどんなものかも知らなかったので、
知り合いのお店によく見学に行ったものです。
その中に、とても強烈な印象を残した方があります。
80歳を過ぎてもなお現役。
バラの模様のワンピースにバッチリメイクの、
一見カバ・・いや、あの、その、押し出し満点というお婆さんなんです。
宮崎でも田舎の方のお店でしたが、
とても業績がいいと聞いていたので、そのヒケツを盗みに行ったわけです。
友達と二人、緊張しながらお話を聞き始めたとき、
がらっと引き戸を開けながらお客様が。
がっしりした50代くらいの男性で、親しげな口調で、
「おばちゃ~ん。」
と言いながらです。
おばちゃん、いや、その薬屋さんは開口一番、
「あんた、えらくスッキリした顔しちょらんか。
夕べ、やったツね!!」
私と友達は、椅子から転げ落ちそうになりながら、
何も聞いてないかのような素振りをキープ。
そのオジサンはこっちをチラッと見て、
黒い顔を赤く染めながら、
「何言うちょっと!!違うが!!わははははは。」
と笑ってごまかすのに必死。
オジサンの用事は結局何だったのか、サッパリ覚えておりませんが、
まさに地域密着ならではのお店だなあと感心して帰ったのです。
あんなお店だったら、何でも相談できるかも。
だけど、あれから20年以上が過ぎ、
その方も亡くなり、お店ももうありません。
時代は流れて移り変わるものですが、
その中でも、変わらずにいてほしいと思うものもあります。
あの時の、あの先生のようなセリフはとてもまだ吐けないけれど、
お客さんとの垣根の低いお店を目指して頑張ろう、そう思うキリンさんなのでした。