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Posted by みやchan運営事務局 at

2014年04月18日

母子手帳にまで。



こないだ実家に帰ったとき、
私の母子手帳を見ました。

ネズミ色の表紙の古い古い手帳です。

開けてビックリなのは、
最初から最後までビッシリ落書きがしてあること。

もちろん幼い私の仕業であります。

とにかく絵が好きだったのだけど、
昔は紙がありませんでした。

うちは比較的恵まれていた方だと思いますが、
子供のイタズラ描きに使えるような紙はありませんでした。

だから、チラシの裏、ポスターの裏、
親が書き損じた手紙、
包み紙の裏にまで、余白があればどこにでも。

よくテレビなんかで
昔の貧乏な子供が必死で紙に字を書いてたりするけど、
有り得んから。

新聞紙だって、捨てずに使ってた時代ですもの。

そんな母子手帳ですが、
落書きで母にしかられたことはありません。

ある日、新しく張り替えたばかりのフスマがありました。
床の間のある、うちでは一番上等な部屋。

下の方に金粉をまぶした雲のような模様があり、
それを前にして、私はほうっとため息をついたのであります。

なんて綺麗なんだろう。
お姫様のお城には、きっとこんな雲がかかっているんだ。

想像してると嬉しくなって、
お姫様を描きました。

もちろん着物にカンザシの日本のお姫様ですよ。

大きなフスマに似合うように、
手が届く限りの大きな絵を一生懸命描きました。

3枚のフスマに一人ずつ、
3人のお姫様を描きました。

自分で言うのもおかしいけれど、
とても上手に描けました。

横に名前も書きました。

「まりひめさま」

「すずひめさま」

「ことひめさま」

私は母が仕事から帰って来るのが待ち遠しく、
玄関で待っていました。

「ただいま。」
母が玄関を開けるのももどかしく、
手を引っ張りながら、早く早くとせかしたのです。

フスマを前にした母は、
目を丸くして、しばらく黙って立っていたので、

「お母ちゃん、ええがに(上手に)描けたじゃろ?」
そう言うと、

「ほんまに、こがに(こんなに)大きい絵を上手にかけたねえ。
 上手じゃ、ほんまに。」
と、にこにこしながら褒めてくれたのです。

今になって考えます。
あの時、母の心中はどうだったのかなあと。
もう忘れてるかもね。

そのフスマは次に張り替えられるまで、
けっこう長い間そのままでした。

うちは来客の多い家だったのだけど、
何て言われてたんだろう。

そういえば、父からも怒られなかったわ。

子育て中の皆様、気をつけてね。
こんな育て方をすると、キリンさんみたいになりますよ。

そうそう、母子手帳の記録の中の私は、
出産のときに4㎏近くもあって、
「過熟児」と記されておりましたとさ。  

Posted by キリンさん at 17:47Comments(2)王様の耳はロバの耳