2013年12月13日
愛情が重いこともある

実家に帰ったときの画像です。
綺麗ですね。
まるで私の心のように。(あっ、石を投げないでください)
あの頃の宮崎は温かかった。
だから油断したのが間違いのモトでした。
宮崎から乗り継いで実家の前までたどり着いたとき、
私はすでに凍え気味。
寒いっ。でも、家の中に入れば暖房が効いてて、母が温かく迎えてくれるはず。
「ただいま~。」
しかし、なんじゃ、この家。
さ、寒くね~?
あちこち点検してまわると、
縁側のガラス戸、応接間のサッシ、裏口、
ことごとく、20cmほどの隙間が開けてあるのですよ。
「お母ちゃん、あちこち開けてあるけん閉めといたよ。」
それを聞くと母は、
「ダメっ!!アラシが出入りするんじゃけん。」
・・・・・・猫だよ。
「寒いんなら、これを着んさい。」
と出されたセーターやカーディガンを重ね着し、こたつに入る私。
もう出られません。
そして翌日の朝のことでした。
午後から広島でお仕事なので、
出かけなければならないのです。
私の服は、まさかの寒さを想定していなかったので、
綿のタートルに薄目のセーター、
短いスカートにタイツというもの。
着替えながら震えましたね。
このままでは、風邪を引いてしまいそう。
そこで母が言いました。
「お母ちゃんの服を出してあげるけん、来て行きんさい。」
それは、黒のタートルネックのセーター。
ここまでは普通。
そのあと、ビロードの頭からかぶる、魔女のような衣装。
そして、柔らかくてぼってりした紫のパンツ(下着ではない)。
いや、お母ちゃん、もっと普通の服はないのですか?
とタンスを漁るけど、普通じゃない服ばかりなので、
寒くても自分の服でいいやと言うと、
鬼のように怒る母の顔はホントに怖かったです。
「ダメよっ!!風邪ひいたらどうするん!!」
と、譲る気配なし。
こんな時の母の愛情は、とにかく押しつけがましく重いんです。
強く言われれば言われるほど反発する私。普通の私なら、着なかったでしょう。
だけど、とにかく寒かった。我慢するのが辛いほどに。
しかも実家は呉にあるのだけど、これから行く広島はずっと北なんです。
仕事はホテルなので、中に入れば大丈夫だけど、
その前に友達のお店に行ったり、夜は流川あたりをうろついたり、
外を歩く時間が相当あると予想されます。
無事に過ごせるのか?
負けた・・・・・・・。
魔女のような装いだけど、コートで隠れると思った私。
でも、JR駅で私は激しく後悔したのです。
だって、ガラス戸に映ってる私の、オレンジのコートから紫のパンツが出ている姿は、
田舎のオバはん、いや、おばあはん・・・・・。
そこで私の中の何かがプツンと切れましたね。
風邪をひかずに宮崎に帰る、それが私の最優先事項なのだから。
それにボロは着てても心の錦。人は中身で勝負!!!
リーガロイヤルホテルであろうが、怖くないさっ!!!
幸い自分の姿は自分の目では見えないのだから、
頭から消し去ればよいだけのこと。
それからは何もかも良いことばかりでした。
食べ物は美味しいし、会議はうまくいくし、友達と会えて楽しいし、
最高でしたね。
そして紫のパンツは、本当に温かく私の下半身を守ってくれたのでありました。
母の重い愛情も、役に立ったということでしょうか。ふう。