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Posted by みやchan運営事務局 at

2013年07月21日

まさかの漢方 大柴胡湯




画像と内容は、何の関係もありません。

大柴胡湯(だいさいことう)製剤のCMを見ました。
といってもわからんかな。
商品名を出せばすぐわかるのでしょうが。

「大柴胡湯。わたしはこの漢方から或る種の威圧感を受ける・
 三尺の大刀はめったに抜かぬ陣太刀である。

 わたしは、この処方を用いるとき、毎度、相当な決断を強いられるのである。」

これは山田光胤(やまだてるたね)先生の著書、
『漢方処方応用のコツ』からの抜粋です。

私が師事する横山先生も

「大柴胡湯は伝家の宝刀」と表現されます。
それだけ切れ味は鋭いのだけれど、慎重に扱わねば怪我をするということです。

出典は『傷寒論』。
麻黄湯、桂枝湯、葛根湯などが載っている本。

以前も書いたけど、
これはウイルスや細菌などによる、
熱性疾患のための処方解説の本です。

大柴胡湯の組成は、
柴胡、黄芩、芍薬、半夏、生姜、枳実、大棗、大黄の八味。
ほぼ熱を冷ますという構成になっています。

生姜が入ってるけど、ここでは温める意味ではありません。

CMで紹介されているのは
ダイエットのための商品でした。

実は、これは全くの間違いではないのです。

『傷寒論』を書いたのと同じ著者による
『金匱要略』という本があるのですが、ここに、
「腹満寒疝宿食病脈并治(ふくまんかんせんしゅくしょくびょうへいち)」
という項があり、ここの応用として、

肥満症、肥満にともなう成人病予防に使われることもあるのです。

ただ、誰にでも使えるわけではないと承知しておいてほしいのですよ。
最初に言ったように、とにかく冷ます処方なのですから、
冷え性の人や体力のない人、下痢しやすい人には向きません。
体内に熱がある頑丈な人のためのものです。

「太ってるのなら、頑丈なのでは?」
と考えたら大間違いです。
太っていても、冷えが強く体力のない人は大勢います。

最初に登場頂いた山田先生も、ある患者さんを引き合いに出し、

「最初は大柴胡湯がよく効いたのでそのまま続けてもらっていたら、
 途中で証が変わって、全身脱力し立てなくなった」
という経験を、自戒を込めて書いておられます。

大柴胡湯にはまた別の一面があり、
強いストレスのある人によく効きます。

浅田宗伯先生は
「いわゆる癇性の鬱塞に用るときは、非常の効を奏す」と述べておられるように、
強い抑うつ状態の解消にとても良いのです。
そういう時には、漢方用語では肝熱といって強い熱が生じるからです。

大柴胡湯はその肝熱を冷ましてくれるのですよ。

だけど繰り返すように、
誰にでも使えるわけではありません。
なにしろ大刀を振るうわけですから、
それに耐えられる体が、あるいは理由が必要となるのです。

なんだか脅すようなことばかり書きましたが、
うまく使えば本当に良い薬なんです。

だからこそ、
安易に飲んだ人が、

「効かなかった」「かえって悪くなった」「副作用がひどかった」
なんて言うことを恐れるのでした。

老婆心?そうかもね。
でも、ちょっとだけ心の隅に置いておいてほしいのです。

漢方薬だからといって、絶対に副作用がないわけではないことを。

だけど、適切に使えば、
素晴らしい効果があるものだということを。  

Posted by キリンさん at 12:28Comments(6)漢方