2012年02月15日

まさかの漢方 インフルエンザ

まさかの漢方 インフルエンザ


「麻黄湯(まおうとう)」
この名前、聞いたことありますか?

インフルエンザに効果があるとテレビで言ってたこともあって、
ここんとこ指名で買いに来られる方が多いのです。

麻黄湯とは、
『傷寒論』という漢方の本に出て来るのですが、

「頭痛し、発熱し、身疼き、腰痛み、骨節疼痛し、悪寒し、
 汗無くして喘する者は、麻黄湯これを主る。」
こう書かれています。

ホント、インフルエンザにぴったりじゃん、
そう思われて当然ですよね。

ですが、
本のどこにもインフルエンザと書いてあるわけではありません。

病名というものは、
人間がつけたものです。

名前の根拠は、
症状だったり、身体の部分だったり、菌やウイルスだったり、
発見者の名前だったり、
時代や土地によって呼び方が違ったり、
様々なのですが、

漢方の処方は、
その病名が出来るよりも古い時に出来上がっていたりします。

だから、
風邪に葛根湯、インフルエンザに麻黄湯、なんて言うのは、
あとから出来たこじつけとも言えるでしょう。

大切なのは、
どんな症状に使えて、どんな症状があると使えないか、
ちゃんと見極めることです。

なるほど
インフルエンザの初期には、
異常な悪寒と体中の痛みと高熱に苦しみます。

これは、麻黄湯の適応症です。

ですが、注意しなくてはならないことが一つ。
この中でとても大切な目標が惡寒なのですが、
毛布や暖房で暖かくなるような寒気は違います。

いくら温めても、歯がガチガチいうほどの寒気。
毛穴が閉じ切きって、一滴の汗も出ないような状態なのです。

この汗が出ないというのも、とても大切。

ちょっとでも汗が出るようであれば、
麻黄湯は飲ませるべきではありません。

何故なら、この薬は強い発汗作用があるので、
毛穴が開いていると、汗が出すぎて危険な状態になりかねないからです。

先日の勉強会でも、
中学生の男の子が麻黄湯を飲んだところ、
激しく脱汗して痙攣をおこしてしまったという話が出ました。

また、食欲不振などの症状がある場合にも不適。
心臓に問題がある人も要注意。

など、効果が強いかわりに制約も多いのです。

タイミングさえ合えば、
とても良い薬なのですが、
そこんところを知っておく必要があります。

安易に飲むべきものではないと
私は思っているのでした。



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Posted by キリンさん at 16:32│Comments(2)漢方
この記事へのコメント
K君が乾燥性湿疹で皮膚科へ。
暮れに処方された薬はあってないと
思うと伝えましたら、
薬を動かしてもらえました。
どうやら効果はあるようです。
効くから強いのかな?とも思ったり・・・

その薬、
「魔王糖」(まおうとう)で覚えよう。
よみかただけ。。。
Posted by rue at 2012年02月15日 16:57
rueさん

強いから効くわけでもありません。

漢方でいうところの、
証が合うか否かなのよ。

証をみて方剤を決めることを
弁証論治というの。

穏やかな薬でも、
証が合えばてきめんです。
Posted by キリンさんキリンさん at 2012年02月16日 10:46
 
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    コメント(2)