2016年08月09日
ルビーの指輪

先週、姑が亡くなりました。
それより、もうちょっと前、
昔の知り合いが亡くなったと知らせがありました。
ずっと前に「ルビーの指輪」という曲が発表されたとき、
一緒に聞いた人です。
去年のこと、共通の友人から連絡があり、
「脳腫瘍で、もう治らへんらしいよ。
司に会いたがってるけど、来られへん?」
いや、来られへんかと言われても、
そっちは京都でんがな。
ちょっとびっくりしたけど、意外に心は動きませんでした。
そうか~、って感じ。
そして今年の3月、また友達から電話がありました。
「今日、彼の誕生日やろ。電話してやってくれへん?
もうちょっとしたら、会話もアカンみたいやねん。
今ならまだいけるから。」
どうしよう。
最後に会ってから、何十年もたっています。
どうしたもんじゃろのう~。
結局、かけました。
「はい、もしもし。」
電話に出た彼の声は細くてゆっくりだったけど、変わってなかった。
「もしもし、わたし。」
「わたし?どこのわたし?」
「わたしよ、わたし。」
「もしかして、九州からかけてんの?」
よくわかったね。
会いたがってるというのも、嘘ではなかったのかもしれません。
「オレな、頭の中にガンが出来て、もうすぐ死ぬんや。」
「知ってる。でも、声は元気そうやで。」
それから、とりとめのない楽しい話をしました。
「オマエに看病してほしかったな。」
「あほか。そんなややこしい病気にかかった人なんか、捨てて逃げるわ。」
あはははは、と彼は嬉しそうに笑い電話を切ったのでした。
それから3か月、友達から報せがありました。
亡くなったよと。
それでもなんだか、遠い人の遠い話のようで、
悲しいというには程遠い気持ちしかなかったのですが、
友達と会話してるときに、
「オマエに看病してほしかったって言うとったわ。」
と言うと、
「ああ、それ、レイコにも言うとったで。」
レイコというのは、私の次の彼女の名前。
はああああ~~~!!!?????
そうだった!!!
ヤツはそういう調子のいいバカ野郎だった!!
思い出した!!
その瞬間、いきなり花火が上がったかのように、
むかしのことが鮮やかに甦り、そして消えていったのでありました。
もう一度会って、昔話でもしたかったね。
その後、テレビに寺尾聡が出ていました。
ドラマに出るからかな。
そのとき、かつて一世を風靡した、あの歌が流れたのです。
「ルビーの指輪」
それを聞きながら、私は心の中で追悼したのでありました。
Posted by キリンさん at 14:40│Comments(2)
│王様の耳はロバの耳
この記事へのコメント
きりんさんへ
ルビーの指輪・…遠い昔の思い出の曲なんですねぇ~
生きてることは、前に進むこと。
思い出は、多分、死ぬ瞬間に思い返せれば・・・・・・そんなことを考えましたね。その習慣に思いだした一人が、きりんさんだった彼なんでしょうか?
ルビーの指輪・…遠い昔の思い出の曲なんですねぇ~
生きてることは、前に進むこと。
思い出は、多分、死ぬ瞬間に思い返せれば・・・・・・そんなことを考えましたね。その習慣に思いだした一人が、きりんさんだった彼なんでしょうか?
Posted by トリム
at 2016年08月09日 20:01

トリムさん
自由な人だったので、
いろいろ思い出したでありましょう。
でも、その一人が私だったってことは
嬉しいですね。
大好きで大嫌いな人でした。
自由な人だったので、
いろいろ思い出したでありましょう。
でも、その一人が私だったってことは
嬉しいですね。
大好きで大嫌いな人でした。
Posted by キリンさん
at 2016年08月10日 11:17
