2014年02月04日

昭和の電気屋さん

昭和の電気屋さん


実家の庭に咲く蝋梅。
とても良い香り。

昭和の電気屋さん


こちらは水仙の花。

実家の門をくぐると、
これらの花の香りが私を迎えてくれたのでした。

「目は口ほどにものを言う」という言葉がありますが、
「鼻は耳ほどにものを聞く」という言葉があってもいいと思う。

実際、漢方の診断方法のひとつである聞診とは、
患者さんの声を聞くとともに、匂いを嗅ぐという行為も含まれるのです。

音楽を聞いて思い出すこともあれば、
花の匂いで甦ることも少なくはないのでした。

おっと、タイトルから離れちゃったよ。

私の実家には、80過ぎた母が一人で暮らしております。
近くにイトコや親戚はいるけど、
それでも時々は顔を見に帰らないとね。

こないだ帰ってみると、
ただでさえ暗い家なのに、なおさら暗く感じたのです。
やはり家の主が老いるってこういうことなのね・・。

いや、それにしても暗い。

それもそのはず、
電球が切れとるがな。

「ホームセンターに電球を買いにいこう。」
と言う私に、

「いや、行かんでええ。」
と反対する母。

「このままじゃ暗いし、お客さんが困るじゃろ。」
結構いろんな人が来る家なんですよ。

「大丈夫じゃけん、ゆっくりしんさい。
 それに、自分で電球を替えんでも、電気屋さんに頼んだらええ。」

いや、たかが電球を替えるのにわざわざ来てくれんじゃろ。

「いつも来てくれるんよ。すぐ来てくれるんよ。」
と言い張る母の言葉に、半信半疑ながら電話番号悵の番号にかけてみました。

こちらの名前を名乗ると、

「ああ、いつもお世話になっとります。何かありましたか?」

「あの、実は電球が切れまして・・・。」

えええ~~~、電球~~~??それだけ~~????
なんて言われるんじゃないかとドキドキ。
すると、

「ほうですか。すぐ行きますわ。
 どこの電球ですか?」

「えっと、台所のテーブルの上のと、続きの居間のと、
 お便所の奥のなんですけど。」

「わかりました。3時頃には行けるでしょうで。」

それだけでわかるのっ?????
電球のワット数とか型番とか、何も聞かないでいいの????

大丈夫かいなと心配していると、
ピッタリ3時にインターフォンが鳴り、
約束通り電気屋さんは来てくれたのです。

60過ぎくらいの電気屋のおじさんは、
ひょいひょいっと歩く人で、
踊ってるみたいに軽やかに、すべての電球を取り換えてくれました。

ちゃんと、前に使ってたのと同じ物を持ってきてくれており、
何一つ無駄のない鮮やかさ。

玄関まで送りに出たとき、
そういえば玄関の電球もちょっとつきが悪いことを思い出し、

「あの、玄関の電気も調子が悪いんです。」
と言うと、おじさんは天井を見上げながら、

「前に来たときにちょっと見たんですが、
 こりゃあもうダメですわ。寿命いうもんです。」

そりゃあね。この電灯は20年以上使ってるもん。

「じゃあ、新しいのをお願い出来ますか?」

「わかりました。ええのを見繕って、早めに来ますわ。」
そう言い残して、電気屋さんは帰って行かれたのです。

今でもいるのね。
かかりつけの病院ならぬ、かかりつけの電気屋さんが。
どの部屋にどんな電球を使ってあるのかまで細かく把握して、
適切に処置してくれるの。

昭和の電気屋さんは、いつもそうでした。
懐かしく、心強く感じたキリンさんでありました。


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Posted by キリンさん at 16:51│Comments(0)王様の耳はロバの耳
 
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