2013年10月15日

京都は、イノダコーヒ。

京都は、イノダコーヒ。


大学生活を、京都で過ごしました。
いろんな思い出がそこにはあります。

その中の一つに、
イノダコーヒも含まれているのです。

あまりにも有名なそのお店は、
京都の街中にひっそりとありました。

ひっそりって、ヘンかな。
とても流行っててお客様も多いのだけど、
日本風の木造の建物と、中の落ち着いた雰囲気には、
人をほっと安心させる隠れ家のようなイメージがあったのですよ。

初めてそこに行ったのは、
可愛がってもらっていた女性の先輩に連れて行ってもらった時。
明るく優しい人でした。

「あんな、うち、彼と別れてん。」

「えっ???なんでですか?仲良かったのに、
 何かあったんですか?」

「何もないよ。けどな、うち、彼のこと、めっちゃ好きやねん。」

「そしたら、なんで?」

「あんな、うち、一人っ子やろ。
 彼も一人っ子やねん。

 このまま付き合うたら、結婚考えるやろ。
 けど、うちら結婚出来ひん。」

「そんな、今時・・・。」

「古い思うかもしれへんけど、
 うちは親が悲しむの、いややねん。
 彼も、そう言うんやんか。

 そやから、続けて苦しさが増すよりも、
 別れよかって話になったんよ。」

「彼氏の方もそれでいいって?」

「納得してくれたよ。

 こないだ最後のデートの時も、この店に来てん。
 コーヒー飲み終わったら、これで最後やな、言うて、うちまで送ってくれたんやけど、

 ずっと二人で歩いて帰ったんよ。

 このまま家に着かへんかったら、どんなにええやろと思ったら、
 涙がぽろぽろぽろぽろこぼれてな。

 せつなかったわ。」

そんな打ち明け話が似合うお店。
いろんなドラマが、そこで静かに起こっていそうな、
そんなところでした。

なんでこんな話をするかというと、
山形屋さんの京都展に、イノダコーヒさんが来てたんです。

コーヒーとチーズケーキを買いました。
チーズケーキは、変わらない懐かしい味でございました。

あの時の先輩は、
別の人と幸せな結婚をされたと聞きます。

それでも時には、
あの彼のことを思い出すことはあるのかな。
イノダコーヒとともに。



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Posted by キリンさん at 12:04│Comments(3)王様の耳はロバの耳
この記事へのコメント
切なすぎます(T_T)

お二人ともが優しかったからこその別れですよね

まだ高鍋に南九大があった頃に、同じ様な別れを決めた学生さんがいました
お客様だったけどカップルできて下さってました
その時もすごくすごく切なかったです
思い出しちゃいました
Posted by Bebe at 2013年10月15日 21:36
メールひとつで別れ話をするこの時代に
昭和のドラマが懐かしくも切ないですね。
今じゃあまり考えられないですけど、
そういう理由もあったんですね。
そんな思い出の珈琲屋さん、イイじゃないですか。
僕なんか、綾の古墳ですから。

ところで山形屋で京都展をやってるなんて知らんかった。
キリンさんのブログを思い出しながら
コーヒーとチーズケーキを食べてほろりとしたい。
Posted by pia masapia masa at 2013年10月15日 23:14
Bebeさん

そうですか。
今でもそういうことあるのね。
私の話は30年以上前だけどね。

当事者じゃなくても、
せつなくて胸が苦しかったわ。

だけど苦しい恋の思い出も、
ないよりあった方が良かったと思っててほしいです。


pia masaさん

あの頃は、けっこうありました。
卒業したら故郷に帰って結婚することが決まってるとか、
それがわかってながら付き合ってた人たちもいた。

あの頃は理解できんかったけど、
今ならわかる。
私も大人になりました。しみじみ。

思い出の場所はいっぱいあるよ。
綾の古墳もいいじゃん。
体育館裏で、あらたな思い出を作るのも。

あ、京都展は終わったから(あっさり)。
Posted by キリンさん at 2013年10月15日 23:28
 
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