2013年01月20日

自分の足で立ち上がれ

自分の足で立ち上がれ


夕べ、あるお店にご飯を食べにいきました。

お店に入ると何人かの従業員さんがいたのだけど、
その中の若い男の子が、
あれっという風に目を丸くし、
小走りでこっちにやってきました。

「いらっしゃいませ。」
と言うのももどかしいように、

「あの、僕のことわかりますか?」

「もちろん、わかりますよ。」
と言うと、

「え、ほんとですか?僕ですよ。覚えてますか?」
と確かめるように重ねて聞いてきました。

当たり前じゃない。
だって、アナタがいると知って会いに来たんだもの。

「まこちゃん。」

当時の呼び方が全く似合わないほど
大人になっていた彼でしたが、
そう呼ばせてね。

もう十年以上も前、
彼が小学校5年生だった頃に、
私は家庭教師の先生をしていたのでした。

顏を合わせるといつも嬉しそうな照れたような
そんな笑顔で迎えてくれたね。

最初は勉強が嫌いな風でしたが、
教えてみると理解力も記憶力も平均より優れていて、
どんどんわかってくれるのが
教える方も快感でありました。

「ほら、こうするとわかるでしょ?面白いでしょ?」
そう言うと、

ぱっと顏をあげ、
無言のまま一杯の笑顔で
首をタテにぶんぶん振る様子が、
昨日のことのように思い出されます。

まさかまさか、その彼が、
小学生でありながら中学生からも恐れられている、
札付きの問題児であったとは。

色んな悪い話が耳に入ってきたけど、
私には一度も口答えすることもなく、
一生懸命勉強してくれたよね。

おばあちゃん子で、
部屋に大きな蜘蛛が出たときは、

「ばあちゃん!!ばあちゃん!!クモ!!クモ!!」
と大騒ぎになり、
おばあちゃんが

「なんね。あんた、クモが怖いとね。」
と言いながら、なんなくクモをつかんで捨てに行く姿に

「すげー!!すげー!!ばあちゃん、すげー!!」
と感嘆の声をあげたり、

真っ暗な夜などは、帰る私に、

「先生、外に幽霊やらおらん?大丈夫?」
と不安げに私を思いやってくれたり、

噂のワルにはとても見えませんでした。

だけど私の知らないところで色んなことがあったみたい。

あれから10年以上、
立派な大人になっちゃって、私は嬉しい。

お料理もとても美味しく、
満足した帰り際、
彼が私にいつでもまた来てくださいね、と言ったあと、こう続けたのです。


「でも、本当に変わりませんね・・変わりませんね。」
そう言う自分の笑顔だって、
私が彼の家に通っていた頃とちっとも変わっていませんでした。

ぼく、先生のことが一目でわかりましたよ、
そう得意げに言うのが聞こえたような気もしました。

運命と呼ぶのは大げさかもしれませんが、
自分の力ではどうしようもないことに翻弄されながら、
今は自分の足でしっかり立って、そして歩き始めているのね。

頑張れ、まこちゃん!!!!
私も負けずに頑張る!!!!!


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Posted by キリンさん at 12:23│Comments(3)王様の耳はロバの耳
この記事へのコメント
「君が僕を知ってる」
忌野清志郎さんの素敵な歌が
浮かんで来たよ。
Posted by rue at 2013年01月20日 12:45
rueさん

ありがとね。

その歌、聞いてみます。
Posted by キリンさんキリンさん at 2013年01月21日 13:14
↓RCサクセションの頃の清志郎さんが歌ってる♪

http://www.youtube.com/watch?v=ijnLGp6lxF8
Posted by rue at 2013年01月21日 16:13
 
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自分の足で立ち上がれ
    コメント(3)