2011年11月21日

感情の理由

感情の理由


実は、父のことが好きであります。

今でこそ、
父親の家庭参加はアタリマエなんて言われてますが、
昔の父親は子供のことなんか、
たいして構っちゃあくれませんでした。

うちの父は特に
自分追及が激しい、天上天下唯我独尊な人だったので、
きっと子供が今何歳で、何年生なのかなんて、
把握してなかったと思われます。

家にもあんまりいなかったしね。

父との一番の思い出を話します。

ある夜のこと、
私と弟はテレビでオバケのQ太郎というアニメを観ていました。

そこに父がふらりと帰ってきて言いました。
「チャンネル貸して。」

なんと、キリンさんの家のテレビはリモコンだったのか?

いえいえ、当時のテレビは、丸いダイヤル式のチャンネルです。
それをガチャガチャやりすぎると、
丸いダイヤル部分がとれてしまうのですが、
昔のメカというのは臨機応変で、
外れても、またそこにはめれば使えるのでありました。

が、賢いキリンさんは、
自分の好きなチャンネルにしたあとは
他にまわせないように、
チャンネルを外して自分で持っているのが常だったのです。

しかしいつもは父にだけは逆らえず、
しぶしぶチャンネルを渡すのがあたりまえでした。
ところがその日は何故かオバQが観たかった。

「野球しょうるんじゃけん。」
と父が言うにもかかわらず、
チャンネルを握り締め、渡さない私。

「貸しんさい。」
「もうちょっと。」

だって、オバQはクライマックスにさしかかっており、あと少しで終わるところ。
野球はその後も一時間あるじゃないか。

「貸しんさい。」
「もうちょっと。」

何度か問答を繰り返したとき、
父はいきなりそこにあった弟のプラモデルをつかみ、
私に投げつけたのです。

ガシャン!!!!!!

見事、私の頭に命中したサンダーバード2号は、
バラバラに砕け散りました。

それまで父に叱られたことのなかった私。
(叱るほど家にいないし、叱るほど子供に関心なかった)

痛さよりもショックで、
大声をあげて泣きました。

横で弟も、
大事なプラモデルを壊されたショックで
一緒に号泣。

そのとき、父はどうしたか?

「泣いた泣いた、わはははははは。」
と、大笑い。

私と弟は、
口惜しさにますます大声で泣きました。

しかし父はチャンネルを取り返すと
すぐさまナイターに替え、
子供達のことなど忘れたかのように
楽しそうに見入ったのでした。

そのとき私は
大人になったら自分だけのテレビを買って、
毎週オバQを見るのだ!!と心に誓ったのでありました。

そんな父でしたが、
子煩悩な一面もあり・・・と書きたいところですが、
それ以外に父と触れ合った記憶はありません。

それでもやはり父が好き。

考えてみれば、
誰かが好きと思うとき、
確たる理由などないものです。

良い人だからって嫌いだったり、
どうしようもない人でも好きな人は好き。

何が言いたいのか?
いや、とくに何も・・・・。

いいかげんな私ですが、
これでいいのだと勝手に納得する冬の初め。

急に寒くなりました。
風邪にきをつけて。
と、薬屋らしく今日のブログを閉めたいと思います。


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Posted by キリンさん at 13:29│Comments(8)王様の耳はロバの耳
この記事へのコメント
私も子供の頃チャンネルを外してました。でも実力行使でペンチでチャンネル変えられてました。
そして私も父が大好きです。キリンさんのお父上と似た感じです。
三年前に亡くなったんですが時々、話したいな~って思います。
Posted by まつまる at 2011年11月21日 14:00
私は父親がキライです。
亡くなって20年以上経ちますが、やっぱりキライです。

これでいいのだ。
Posted by てっちゃーんてっちゃーん at 2011年11月21日 15:10
子供の頃に買ったテレビにはリモコンをしまうには
調度良さそうな蓋のようなものがありましてね。
押しても引いてもびくともしない蓋だったんですが、
うちのテレビはリモコン式と言いふらしてました。
ただ蓋が開かないからリモコンが取り出せないのだと。
そのうち黄色しか表示できないテレビになりました。

ところで、僕は中高生の頃は父親嫌いでしたね~
そういう時期だったんでしょうか。
今では全然そんな事ないんですけど。
ただ一度だけキャッチボールをしてもらったことは
よく覚えてます。

人んちに投げ込んで怒られたけどw
Posted by pia masapia masa at 2011年11月21日 15:41
まつまるさん

やはり同世代はわかってくださる。
(本当に同世代なのか?)
ペンチもやってたわ。
弟が隠したときに私がです。

あなたもお父さんが好きですか。
よかったです。
亡くなったのね。残念。

でも、思い出は生きてる。
(決まったか?このコメント)


てっちゃーん

そ、そうですか。お嫌いですか。

理由を聞いても
嫌いなものは嫌いなんでしょうね。

深く突っ込むのはやめます。
それでいいのだ。


pia masaさん

子供のころから
ホラ吹・・・いや、あの、その、
想像力の豊なお子様だったのね。

黄色とは、さてはカラーだな。
白黒世代と知ってのロウゼキか。

父親が嫌いな年代ってありますよね。
私の場合は
嫌いになろうにも、あまり会う機会がなかったし。

いい人よりもヘンな人が好きという性格も、
父のおかげで培われたような。

キャッチボールですか。
まるでホームドラマみたいですね。

ただ、いくら想像しても、
食い倒れ人形の顏の親子のキャッチボール姿しか。
Posted by キリンさん at 2011年11月21日 17:40
なんか分かる。
なんとなく駄目とか
なんとなく好きとか。

それでいいのだ。(天才バカボンは深い)

しか~し、人は理由をつけたがる。
どうでもいいことでも。
Posted by rue at 2011年11月21日 19:35
rueさん

そうそう。
理由をつけたがるの。
自分の感情の理由なんて、
半分もわからんものだ。
従って説明など出来んのです。

それでいいのだ。
Posted by キリンさん at 2011年11月23日 10:27
昨日は、久しぶりにゆっくりと妹と話したのですが
一緒に体験した出来事でも
一緒にすごした身近な人についても
視点が違うと、違うものだなぁと
昔話を楽しみました。

昔の理不尽な思いも笑える
理由なんかなくても
生きること、関わりがあること
幸せだと思います。

お話はできませんでしたが
お顔が見れて嬉しかったです。
Posted by 彩葉 at 2011年11月23日 22:23
彩葉さん

こちらこそ、
お久しぶりでした。

髪、短いのがとっても似合ってましたよ。
またいつか会いたいですね。

自分と同じ人間はどこにもいないわけで、
だからこそ面白いのですが。

色んな関わりを楽しめたらいいですね。
Posted by キリンさんキリンさん at 2011年11月24日 00:23
 
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