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Posted by みやchan運営事務局 at

2012年04月19日

父のいる風景




皆様、ご心配をおかけいたしましたが、
昨日から職場復帰のキリンさんです。

数々のお悔やみの言葉、本当にありがとうございました。
それぞれが、心に沁みるような思いでした。

さて、この写真の中央にいるデコッパチが私。

まだ弟は生まれておらず一人っ子だった頃。
世界は全てが自分の思い通りになると信じていた、
一生で一番自信満々だった頃の一枚です。
(えっ?今もそうでは?と思ったアナタ、体育館の裏に来なさい。)

横で笑っているのが母、
後で微笑んでいるのが亡くなった父であります。

こうして見ると、
いかにも優しそうな良いお父さん風であります。
しかしながら、実際にはそうではありませんでした。

父ほどマイペースな人を、
私は見たことがありません。

やりたいことをやり、
やりたくないことはやらない。

常におだやかで、大声をたてたり暴れることなどは、ついぞなく、
誰かの意見に反論したり抗う風でもないくせに、

ただ黙ってやりたいことをやり、
やりたくないことはやらない。

旅行や映画やボーリングに連れて行ってもらったけど、
子供のために、ではなくて、
自分が行きたいから行く。たまたま家族がいるから連れて行く。

だって、旅行といえば城。
天守閣に上るのが子供の足には辛くて、(エレベーターなどなかった)
留守番したいと何度も言ったけど、
ホームドラマ好きな母によって却下。

映画といえば、
「戦争と人間」とか「橋のない川」といった社会派。
小学生を連れて行くジャンルじゃないし。

ボーリングは自分がはまってたから。
マイボール、マイシューズまで持ってたんです。

ある日とつぜん
「ボーリングに行くけん。」
と言われ、有無を言わさずボーリング場へ連れて行かれます。

行って見れば、親子ボーリング大会で、
既にエントリーされているので参加しないわけにいかず、
言われるがままにペアで出場するのでした。

弟と私は、そこそこ上手だったため、
わりと上位にいけるので、なんというか、使われたのでしょうね。

中年になって始めた社交ダンスも、
とても熱心に興じておりましたが、
私はよく周りの人から言われたものです。

「お父さんに、誰とでも踊るように言うてくれん?」

好きな人とはいくらでも踊るけど、
気に入らない相手だと
「疲れた」などと誤魔化して絶対に踊らないのだそうで。

意見しても無駄だから言いませんでしたが。

一番困ったのが、仕事しないこと。

うちはプロパンガス屋だったのですが、
ガスが切れたからすぐ来てと言われても、
囲碁や麻雀に興じている最中だと、行かない。

お客さんがお風呂に入ってる途中だとか、
ラーメン屋さんが営業中に火がつかないとか、
とんだ迷惑をおかけしていても、どこ吹く風なのです。

しかたないので、
母と私と弟で、重いボンベを車に積んで配達に行くのでした。

あとで文句を言うと、
逆切れすることはなく、大人しく聞いているのですが、
それは言葉を右から左に流しているだけで、
また同じことの繰り返し。

ほんとうに、
仕事も社会活動も全てにおいて
やりたいことはやるけど
やりたくないことはやらない、それを貫いた父でした。

だからお通夜でもお葬式でも、
父のことを

「可愛そう。」とか
「残念だっただろう。」とか
「もっと〇〇してあげれば良かった。」なんて言う人は一人もいませんでした。

やりたいことはやり、
やりたくないことは決してやらず、
残された人達に何の後悔もさせることもなく逝った父。

父と母と弟と私、
四人家族の長という責任も自覚もなかった父。

自分勝手なくせに、
妙に人気があった父。

そんな父が、実は好きでした。
ただ父でいてくれるだけで、それだけでよかった。

ところで、キリンさんが父の葬儀で何か失敗するんじゃないか、
そう心配してませんでしたか?

自分でもヒヤヒヤしていたのだけど、
ここ一番でしくじることはなかったと、ご報告しておきます。

黒いストッキングを穿こうと出してみたら、
リボン柄の網タイツだったけど、
穿く前に気付いたし。(あたりまえだが)

さあ、そろそろ仕事しなければ。
また時々は思い出を語るとおもうけど、
その時は読んでやってくださいね。

では。  

Posted by キリンさん at 13:28Comments(11)王様の耳はロバの耳